[ニューヨーク 1日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、米ISM製造業景気指数の上昇を受け、ドル指数が上向いた。
米供給管理協会(ISM)が発表した5月の製造業景気指数は61.2と、前月の60.7から上昇した。経済再開に伴うペントアップデマンド(繰越需要)が追い風となった。ただ、ISMは企業やサプライヤーが「高まる需要への対応で苦闘している」と指摘。原材料や労働力不足が影響し、供給が追いついていない構図も顕著となった。
労働力や部品などの不足が指摘されたことで、ドルは当初は軟化。BKアセットマネジメントのマネジング・ディレクター、キャシー・リエン氏は、製造業部門の供給問題による影響が経済全般に波及していることが示唆されたとし、「第2・四半期の初めに見られた勢いが減速し始める可能性があることが示された」と述べた。
主要6通貨に対するドル指数は0.35%高の89.822。ただ5月28日に付けた高値の90.447からは大きく下げた水準にある。
UBSの外為・マクロストラテジスト、ワシーリー・セレブリアコフ氏は「第1・四半期は新型コロナウイルスワクチン接種の遅延が要因で米国以外の国では景気回復が遅れていたが、今はユーロ圏と英国を中心に遅れを取り戻している」とし、相場は全般的にドル安に傾いていると指摘。カナダ、ノルウェー、ニュージーランドなどの一部G10諸国の中央銀行がタカ派的なシグナルを発していることも、ドルに対する圧力になっていると述べた。
ユーロは0.05%高の1.2305ドル。 欧州連合(EU)統計局が発表した5月のユーロ圏消費者物価指数速報値が前年比2.0%上昇となり、「2%を下回るがこれに近い水準」とする欧州中央銀行(ECB)の物価目標を超過したことが押し上げ要因となった。
資源国通貨は原油価格の上昇を反映し、全般的に堅調。石油輸出国機構(OPEC)にロシアなど非加盟産油国を加えた「OPECプラス」は1日の閣僚級会合で、石油需要が回復する見通しやイランが増産する可能性などを考慮し、協調減産を7月まで段階的に縮小する方針を確認した。
豪ドルは0.45%高。オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は1日、市場の予想通り政策金利のオフィシャルキャッシュレートを過去最低の0.10%に据え置いた。据え置きは6会合連続。
中国人民元は安定的に推移。中国人民銀行(中央銀行)は5月31日、5%としている金融機関の外貨準備率を6月15日から7%に引き上げると発表した。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは2.66%安の3万6348.78ドル。イーサは1.21%安の2566.90ドル。
ドル/円
NY終値 109.45/109.48
始値 109.58
高値 109.70
安値 109.35
ユーロ/ドル
NY終値 1.2211/1.2215
始値 1.2221
高値 1.2254
安値 1.2212