Catarina Saraiva

  • 予想を上回る強い内容の統計受け11月利下げ幅予想は0.25ポイントに
  • 米経済「ソフトランディングの根拠を強める」とシュルヤティエバ氏
ワシントンのFRB本部
ワシントンのFRB本部 Photographer: Erin Scott/Bloomberg

9月の米雇用統計が予想を上回る強い内容となったことで、労働市場を巡る懸念が後退し、金融当局には今後数カ月に一段と漸進的なペースで利下げを続ける余地が生じた。当局へのプレッシャーは軽減された形だ。

  JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェローリ氏が「本塁打」と呼んだ統計発表を受け、金融当局が9月の0.5ポイント利下げに続き、11月6、7両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合でも大幅利下げを検討するとのエコノミストや投資家の観測はほぼ直ちに減退した。

米雇用者数の伸び、9月は全予想上回る-失業率は4.1%に低下

Federal Reserve Close To Making Its New Inflation Strategy Official
ワシントンのFRB本部Photographer: Erin Scott/Bloomberg

  以前は大幅な追加利下げを予想していたフェローリ氏だが、4日の顧客向けリポートでは、「今日の発表で米金融当局の仕事も比較的容易になるだろう。われわれは現時点で0.25ポイントの利下げ路線を予想している」とコメントした。

  このほかにも、バンク・オブ・アメリカ(BofA)の米国担当シニアエコノミスト、アディトヤ・バビ氏は11月の利下げ幅見通しを0.25ポイントに切り替え、BNPパリバの米国担当シニアエコノミスト、エレーナ・シュルヤティエバ氏も「落ち着いたペース」での利下げを見込むとしている。

  シュルヤティエバ氏は顧客向けリポートで、「9月の雇用者数の大幅な伸び加速や失業率の低下は、過去数週間の米経済指標で示された広範な力強さと相まって、底堅さを新たに裏付けるサインとなり、ソフトランディング(軟着陸)の根拠を強める」との見方を示した。

  雇用統計の発表に先立つ3日、米港湾労働者の労働組合は同国東海岸とメキシコ湾岸で行っていた大規模なストライキを中断することに同意し、ストは3日間で終了した。

  こうした一連のニュースを背景に、米金融当局の次の動きに関する議論は当面、リセットされた。フェデラルファンド(FF)金利先物市場で投資家が織り込む11月の利下げ幅は0.25ポイントと、雇用統計発表前に比べ約10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)圧縮されている。

  パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は9月30日、同月のFOMC会合後に公表された最新の金利予測分布図(ドット・プロット)で、11月と12月の会合について当局者がそれぞれ0.25ポイントずつの利下げ見通しを示唆したことに言及していた。

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原題:Jobs Report ‘Dinger’ Takes Pressure Off Fed for Next Meeting(抜粋)