目の前で起こっている様々なできごとの本質を理解するというのは、簡単なようで意外に難しい。トランプ次期大統領と不即不離、二人三脚の関係を築いているイーロン・マスク氏。政府効率化省の共同代表に指名されたが、彼はこれから何をやろうとしているのか。主要メディでは政府予算の大胆な削減、規制緩和による経済の活性化など、通り一辺倒の解説が連綿と続く。メディアによっては「官僚機構を廃止除外し、多くの余計な監督管理、浪費支出を削減し、政府機構を整備し立て直す」(Yahooニュース)といった発言を取り上げているところもある。トランプ氏の「DSを潰す」発言に連動しているようにもみえる。米国の年間予算は円換算で約1100兆円強、110兆円強の日本の約10倍だ。70兆円とか80兆円の無駄削減といっても、比率にすれば7〜8%程度でしかない。額よりも「官僚機構廃止」、「政府機構整備」といった発言に個人的には興味を覚えている。

それで一体なにを目指しているのか。そこがなかなか理解できないのだ。今朝のニュースの中にはSEC解体論が登場した。CIA長官に指名されたラトクリフ氏はもともとCIA解体論者だ。米国だけではない。日本の官僚機構もあちらこちらに歪みが生じている。その典型例が財務省だ。国民民主党が提起した「103万円の壁」を契機に、財務省のホームページには国民からの批判が殺到しているとの記事を何かで見た。さもありなん。日本や米国に限らず官僚機構は一般国民のメンタリティーから大幅に乖離しているのだ。マスク氏とラマスワミ氏が率いる政府効率化省が、ほんとうに国民に寄り添おうとしているのだとすれば、その動向を日本も注意深く見守る必要がある。テスラやスペースX、旧ツイッター(現在のX)、ニューラル・リンクといった会社を経営するマスク氏だ。政府との関わりも強い。規制緩和は利益誘導になりかねない。利益相反の関係も随所に存在する。

「本音はどこにある」、聞いてみたい気がする。ジャーナリストの山口敬之氏のYouTubeをみて驚いた。マスク氏は21日にXに投稿している。中身は「侘び寂び」。たった4文字、それだけ。まして日本語だ。この投稿の意味は英語圏の人たちにはまるでわからない。なんだこれ、リポストが殺到する。こうして日本人特有のメンタリティーであり、美意識である「侘び寂び」をめぐる議論が盛り上がる。それがマスク氏の狙いなのかもしれない。利益相反、利益誘導、「違う、侘び寂びだ」と言いたかったのかも。山口氏によるとマスク氏は根っからの日本贔屓だそうだ。時々お忍びで日本を訪れている。その際、神社仏閣に頻繁に足を運んでいるようだ。唯一の関心は金でも権力でもない、コンシャスネス(consciousness)だという。日本語にすれば意識的とか、自覚的にといった意味か。意識とシンギュラリティーと宇宙開発に興味を示すマスク氏。トランプ氏と組んで世界革命をやろうとしているのかもしれない。

以下はマスク氏投稿のURL。
https://x.com/elonmusk/status/1859349580833571198