▽CAT債、関税ショック下で強い耐性-安全資産崩れても秩序保つ

Gautam Naik

  • 年初来CAT債指数は1%上昇、投資家は関税発表の影響を回避
  • 発行額は昨年過去最高規模に膨らむ-気候変動で気象災害が深刻化

保険会社などが災害リスクへの対応で発行するカタストロフィー(CAT)債が、関税ショックに伴う相場急落時に強い耐性を示した。

  トランプ米大統領による2日の関税発表後、大半の市場が大きく売り込まれたのに対し、CAT債の投資家はほとんど影響を受けなかった。

  保険会社や再保険会社は、自然災害関連のリスクを資本市場に移転するためにCAT債を発行。あらかじめ定められた災害が発生した場合、投資家は支払い義務を負うが、災害が発生しなければ高いリターンを得られる。

  保険リンク証券(ILS)を専門とするヘッジファンド運営会社フェルマー・キャピタル・マネジメントは、CAT債市場では「秩序あるトレードが行われている」とし、CAT債を買った投資家は「利益を得ている」と指摘する。

  CAT債は、従来安全資産と見なされてきた市場がトランプ関税を巡るパニックで下落している中でも良好なパフォーマンスを上げた。

  先週半ば時点でスイス・リーのグローバルCAT債パフォーマンス指数が年初来で約1%上昇しているのに対し、S&P500種指数は15%程度下げていた。

  フェルマーのように、CAT債市場を専門とする投資家は少数ながら増えている。

  CAT債の発行額は昨年、過去最高規模まで膨らんだ。気候変動による気象災害が深刻化したほか、都市化の進行で損害リスクが高まったことが背景にある。

  CAT債は他の市場と連動しにくいため、同債券特有のリスクを負うのをいとわない投資家に分散投資の手段として利用されることが多い。

  この機に乗じ、CAT債の相対的なリターンに顧客の関心を引こうとする動きは他にも見られる。

  イコサ・インベストメンツはリンクトインで、他の市場が下落している中でもCAT債は「穏やかで安定した環境」を享受し続けていると指摘した。

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原題:Catastrophe Bonds Among Few Asset Classes Withstanding Selloff(抜粋)