▽日米関税交渉は立場に依然として隔たり、最優先で対応-石破首相
広川高史
- 日本経済に与える影響を十分に分析し、資金繰り対策など講じる
- 在日米軍経費も議題になる可能性、石破首相「適切に分担されている」
石破茂首相は18日、米国との関税交渉に関し、日米の立場には依然として隔たりがあり、引き続き政府一丸となって最優先で取り組む考えを示した。参院本会議で答弁した。
石破首相は16日に行われた協議の詳細については「外交上のやり取りであり、言及を差し控える」と述べた。当面は閣僚級で交渉を続けるが、最も適切な時期に自ら訪米し、トランプ氏と直接会談することも「当然考えている」とも語った。
米関税措置が日本経済に与える影響については十分に分析し、資金繰りなどの必要な対策を講じていく考えだと強調。「新たな経済対策について検討しているという事実はない」とした。
赤沢亮正経済再生担当相は訪米中のトランプ大統領との面会で、日本との協議を最優先で進める意向を示された。ベッセント財務長官らとは、可能な限り早期の合意を目指すことなどを確認。今月中に再度の閣僚協議実施で調整を進めている。主要国の中でも早いタイミングで始まった日米協議は他国にとって米側の出方を見定めるための試金石となり得る。
石破首相は18日夜、官邸で記者団に対し、次回協議で具体的な前進が得られるよう、政府部内の検討調整を加速するように指示を出したことを明らかにした。
トランプ政権は日本などへの上乗せ関税を90日間停止する方針を示したものの、10%の基本税率、鉄鋼・アルミニウム関税や自動車関税の25%は維持している。
赤沢氏は同日夜の会見で、「既に課せられている関税でわが国の企業の利益が削られている状況のため、一刻も早く合意に至りたい」とした一方、「早ければいいというものではない」とも述べた。為替については加藤勝信財務相とベッセント財務長官による協議の「おさまりを見ながら最終的にパッケージ全体を整える」と述べた。
次の交渉に向けては日米双方が宿題を持ち帰っているとした上で、協議に出席した米国側の閣僚が「何を重視し、話が全く出なかったものは何か精査する」と語った。
ベッセント氏は赤沢氏との会談について「貿易に関する議論が非常に満足のいく方向に進んでいることをうれしく思う」とX(旧ツイッター)に投稿した。「近いうちに日本の友人たちとさらに前向きな対話ができることを楽しみにしている」とも指摘している。
在日米軍駐留経費負担
日米交渉では在日米軍の駐留経費負担など防衛・安全保障を巡る問題も取り上げられる可能性がある。共同通信はトランプ大統領が赤沢氏との面会で、日米安全保障条約の在り方に不満を伝えたと日本政府筋の情報として報じた。
石破首相は18日の参院本会議で、在日米軍駐留経費について「日米両政府の合意に基づいて適切に分担されている」とした上で、「わが国の防衛費の在り方についてはわが国が主体的に判断する」との見解を示した。中谷元・防衛相も同日の閣議後会見で防衛面の負担の在り方と関税交渉は「別の問題だ」と述べた。
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