- 関税巡る中国との対立長く続かずと米財務長官、テスラ決算
- USスチール買収に改めて反対、成長見通し下方修正、米資産離れ
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緊張緩和に期待
ベッセント米財務長官は投資家との非公開の会合で、関税を巡る中国との対立は長くは続かず、緩和していく見通しだと述べた。会合の出席者が明かした。会合は、JPモルガン・チェースがワシントンで主催した。国際通貨基金(IMF)と世界銀行の春季総会のサイドイベント。出席者によると、ベッセント氏は中国との交渉はまだ始まっていないが、合意は可能と述べた。米財務省は、コメントの求めに今のところ応じていない。ベッセント氏の発言が報じられた後、S&P500種株価指数は一時2.9%上昇した。投資家らは同氏の発言を、米中対立の暗い見通しを変える材料として受け止めた可能性がある。
市場予想に届かず
米電気自動車(EV)メーカー、テスラが通常取引終了後に1-3月(第1四半期)決算を発表。調整後1株当たり利益は27セントと、アナリスト予想を下回った。売上高は1934億ドル。市場予想は2137億ドルだった。また、2025年に売上高が成長へ回帰するとした以前の見通しを撤回し、次の四半期に予想を見直す方針を示した。関税に加え、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)に対する反発などが、同社に打撃を与えていることを示す兆候だ。
リスクあらためて指摘
全米鉄鋼労働組合(USW)はベッセント財務長官に宛てた書簡で、日本製鉄へのUSスチール売却は安全保障だけでなく全米の鉄鋼産業にもリスクをもたらすと訴えた。売却されれば日鉄がUSスチールの意思決定に影響を及ぼすと指摘し、このリスクはいかなるシナリオにおいても克服不可能だと主張した。日鉄を「常習的な不公正貿易の担い手」とし、世界的な生産過剰に拍車をかけていると批判した。一方、トランプ大統領は首尾一貫しない姿勢で再審査の結果を待っている。トランプ氏が再調査を命じたことで、投資家の間では合意復活への希望が広がったが、トランプ氏はUSスチールの過半数株式を日鉄が取得するのは望まないと繰り返し述べている。
コロナ禍以来の低成長
国際通貨基金(IMF)は最新の世界経済見通し(WEO)で、今年の世界経済成長率を2.8%に引き下げた。1月の時点では3.3%成長を予測していた。予想通りとなれば、コロナ禍の2020年以来の低い伸びとなる。トランプ米大統領の関税措置が世界的な貿易戦争を引き起こすため、見通しはさらに悪化する恐れがあるとも警告した。来年の成長率見通しについても0.3ポイント下げて3%とした。日本については25年の成長率予想を0.6%とし、従来予想から0.5ポイント引き下げた。米国は今年が1.8%成長、26年が1.7%成長の見通しで、それぞれ0.9ポイント、0.4ポイントの下方修正となった。
数年続く見通し
「米国例外主義の終焉(しゅうえん)」をほぼ完璧なタイミングで言い当てたソシエテ・ジェネラルの資産配分責任者、アラン・ボコブザ氏によると、トランプ氏が通商政策を継続する限り、世界の投資家による米資産からの資金移動は今後数年続く見通しだ。同氏は2024年9月までは米資産に強気だったが、同月にバリュエーション(株価評価)に警戒シグナルが現れていると警告。25年2月に、米国株とドルへのエクスポージャー削減を顧客に勧めた。「米新政権は、非常に高水準の不確実性をもたらした。米国からの大きな資金ローテーションは始まったばかりで、数年続く可能性がある」とインタビューで語った。
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