▽トランプ関税巡る交渉でアジアがリード-米は日韓印との進展強調<bloomberg日本語版>2025年4月28日 9:13 JST
Alastair Gale、Soo-Hyang Choi、Shruti Srivastava
- 日本や韓国、インドなどアジア諸国が米国との貿易交渉をリード
- これらの国は米関税回避のため小規模な暫定合意に達する可能性高い
輸出に依存するアジア諸国は、米国の高い上乗せ関税に直面しているにもかかわらず、北米や欧州諸国よりもトランプ米政権との貿易交渉が進展している。
過去の経験は、包括的な貿易協定の締結は何年とは言わないまでも、何カ月もの時間を要する可能性を示唆している。あと2カ月程度で日本や韓国、インドに対する米国の関税は25%前後まで引き上げられるため、これらの国にはそんな時間的余裕はない。ベトナムとタイに対する関税率はさらに高く、それぞれ46%、36%だ。
これらの国は、米国の上乗せ関税を回避するため、7月前半に90日間の停止期間が終了する前に、小規模な暫定合意に達する可能性が高い。これによって、トランプ大統領は混乱を招いている自らの貿易政策で迅速な成果をアピールできる。
トランプ政権は各国との数十回の協議を調整する中、ここ1週間でのインド、日本、韓国との交渉進展を強調している。
日本はトランプ政権1期目に、2019年の貿易協定締結に向けた交渉に1年余りを費やした。現在対米交渉を担う赤沢亮正経済再生担当相は、数日以内に訪米して2回目の協議を行う予定だが、交渉の全ての範囲については両国がまだ合意に至っていないと述べている。
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ベッセント米財務長官は27日、ABCニュースの番組「ジス・ウィーク」で、米国の重要な貿易相手国18カ国のうち中国とは「特別な交渉」中だと述べた。
残りの17カ国については、「今後90日間で交渉を進めるプロセスを整えた」とし、「一部の国々、特にアジア諸国との交渉は非常に順調に進んでいる」と語った。
ベッセント氏は先週、韓国との間で今週中に貿易に関する「基本合意」に至る可能性があると述べた。韓国の当局者は、少なくとも関税免除の確保に向けた具体的な合意の最初の期限を7月前半と考えていると語った。
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ただ、それ以上の進展を期待するのは楽観的過ぎるように思われる。米国と韓国は07年に自由貿易協定を締結したが、その交渉には1年余りかかり、議会に批准されたのは11年だ。その後、第1次トランプ政権下の18年にさらに数カ月かけて再交渉が行われた。

インドは全ての国の中で対米貿易交渉が最も進展していると言えるかもしれない。両国は農産物や電子商取引を含む商品・サービスの市場アクセス拡大など、19の交渉分野で合意に達していると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
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米中の交渉が依然として行き詰まり、米国と他の主要アジア諸国の協議が進んでいる一方で、北米や欧州諸国はなお、交渉範囲や米国の貿易政策担当者が誰であるかなど、基本的な枠組みを理解しようとしている段階にある。交渉のスピードについてはそれほど懸念していない様子だ。
欧州連合(EU)は今月半ばに米ワシントンで米国と貿易交渉を行ったが、意見の相違を埋められず、ほとんど進展は得られなかった。
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原題:Asia Gains Lead in Race for Interim Deals to Avoid Trump Tariffs(抜粋)