▽中国ネット通販SHEIN、米国で最大377%値上げ-関税が消費者直撃

  • 少額貨物への関税引き上げを控え、米国向けの製品を値上げ
  • 値上げは25日に集中-美容・健康分野で51%、婦人服は8%
A Shein distribution center in Whitestown, Indiana, US, on Tuesday, April 8, 2025.
A Shein distribution center in Whitestown, Indiana, US, on Tuesday, April 8, 2025. Photographer: AJ Mast/Bloomberg

中国発のファッション通販大手SHEIN(シーイン)は米国向け製品の価格を引き上げた。中国から米国に輸入される少額貨物に対する関税の引き上げを前に、貿易戦争が消費者に与える影響が早くも現れた格好だ。

  ブルームバーグ・ニュースの集計によると、米国での値上げは25日に集中し、カテゴリーごとに大きな差がみられた。美容および健康分野の上位100品目では平均価格が前日比51%上昇し、2倍余りの値上げとなった商品もある。ホームおよびキッチン、玩具は平均で30%超値上がりし、キッチンタオル10枚セットは377%もの値上げとなった。婦人服の価格は8%の上昇。

  トランプ政権は今月、輸入申告額が800ドル以下の場合に関税を免除するいわゆる「デミニミス(非課税基準額)」ルールについて、5月2日以降は中国・香港に適用しないと発表。これにより、SHEINや「Temu(テム) 」といった中国発のオンライン通販は多くの商品で120%の関税に直面する。

  トランプ氏は21日、エネルギーと食料品の価格下落を背景に「インフレはほとんど存在しない」と自身のソーシャルメディアに投稿していた。しかし、SHEINによる今回の値上げは、中国系オンライン小売業者がコスト上昇分の少なくとも一部を消費者に転嫁する動きを浮き彫りにしている。

  トランプ氏の関税政策に備え、SHEINは今年2月、一部の中国サプライヤーに対してベトナムで生産拠点を設けるよう促していた。Temuも中国国内のサプライチェーンを見直し、工場側が製品をまとめて米国倉庫に直送し、同社はオンライン運営に専念する「ハーフカストディ」方式への移行を加速している。

  ブルームバーグのデータによると、SHEINとTemuの売り上げは3月から4月初旬にかけて回復。関税による値上げを見込んだ米消費者からの旺盛な需要が背景にあるとみられる。両社とも今月に入り、米国での値上げ方針を発表していた。

  ブルームバーグがカテゴリー横断的に選んだ50品目のサンプル調査では、SHEINの米国での価格は4月24日から26日にかけて平均で約10%上昇。この間、50品目のうち7品目は米国での販売が中止となった。対照的に、英国での価格はほぼ据え置きで、販売中止となった商品もなかった。

  米国向けサンプル調査で残った43品目のうち、30品目が2日間で10%余り値上がりした。広範な価格改定は25日に行われたが、一部商品はその前から価格が上がっていた。

  例えば、婦人服カテゴリーでは22日に人気商品の価格が相次いで上昇。同カテゴリー上位100品目の平均価格は8.68ドルから9.06ドルに4%余り値上がりした。

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原題:Shein Hikes US Prices as Much as 377% Ahead of Tariff Increases(抜粋)