▽米4月CPI2.3%上昇、約4年ぶりの低い伸び 利下げ見通しに変更なし

[ワシントン 13日 ロイター] – 米労働省が13日発表した4月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.3%上昇した。伸びは3月の2.4%から鈍化し、2021年2月以来、約4年ぶりの低水準となった。しかし、関税の影響を背景にインフレ見通しは引き続き不透明で、米連邦準備理事会(FRB)が夏終盤まで利下げを再開しないという見通しを変えるには至らなかった。
市場予想は2.4%上昇だった。
物価の「瞬間風速」を示す前月比は0.2%上昇し、3月の0.1%下落からプラスに転じた。市場予想は0.3%上昇だった。


LPLフィナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は、米国と中国が追加関税引き下げで合意したことに言及し、「世界貿易の改善は、今後のインフレ動向に一定の明確さをもたらすだろう」と指摘。同時に「一時的な貿易合意の後に何が起きるかという不確実性によって、FRBの対応は難しくなるだろう。スタグフレーションのリスクもある。不透明感が解消されなければ、FRBは6月に政策調整はできない可能性がある」と述べた。
<コア指数前年比2.8%上昇、前月比0.2%上昇>
項目別では、食品が前月比0.1%下落と、前月の0.4%上昇からマイナスに転じた。卵の価格が12.7%急落したことを背景に、食料品店の価格は0.4%下落と、2020年9月以来最大の下落となった。ただ、卵の価格は依然、前年同月比で49.3%高騰した。
ガソリンも前月比0.1%下落した。
変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数は、前年比2.8%上昇。伸びは予想と一致し、3月と同じだった。
コアの前月比は0.2%上昇。伸びは3月の0.1%から加速したものの、予想の0.3%は下回った。
住居費が0.3%上昇し、コア指数を押し上げた。帰属家賃(OER)は0.4%上昇だった。
自動車保険料は0.6%上昇。一方、航空運賃は2.8%下落、中古車・トラック0.5%下落、新車は変わらずだった。
<エコノミストは経済成長鈍化、インフレ再燃を予想>
ネーションワイドのチーフエコノミスト、キャシー・ボスジャンシック氏は「インフレはより緩やかなペースで上昇し、第4・四半期に前年比3.4%で近辺でピークに達する公算が大きい。われわれの従来予想である4%を下回るだろう」と指摘。ただ「関税率がトランプ大統領就任前よりも上昇することを背景に、経済成長はなお鈍化する見通しだ」と述べた。
今回のデータは中国からの輸入品に対するフェンタニル関連の20%関税、輸入車などへの25%関税などの影響を部分的に受けている可能性が高い。エコノミストは、関税による物価への影響は5月から顕著に現れると予想している。
企業はトランプ大統領の関税措置発表に先立ち、第1・四半期に在庫を積み増した。エコノミストは、これが緩やかな物価上昇につながっている可能性があると指摘。ブリーン・キャピタルのシニア経済アドバイザー、コンラッド・デクアドロス氏は「在庫が約3.7カ月分の販売に相当する水準にあることを踏まえると、関税措置による物価への影響は年央あたりから顕在化し始める」との見方を示した。
PNCフィナンシャルのチーフエコノミスト、ガス・フォーチャー氏は「米国は中国と関税措置を巡り合意に達したものの、米国の全ての貿易相手国に対する関税は年初と比べてはるかに高い水準にある」とし、「高関税による影響は向こう数カ月で消費財価格に波及し、インフレは再燃する」と述べた。
