トランプ関税が再び市場を揺さぶっている。Bloombergは次のように伝えている。「トランプ米大統領は23日、EUからの輸入品に6月1日から50%の関税を課す考えを示した。またスマートフォンへの25%の関税賦課案についても、全ての海外製デバイスに適用されると述べた。貿易戦争をさらに激化させ、市場の動揺を誘い、企業に混乱をもたらしている」と。EUとの交渉が思ったように進んでいないのだろう。苛立つトランプ氏、いつもの強圧外交に打って出た。コロコロと判断を変えるのがトランプ・ディールの特徴だ。とはいえ、6月1日まで残すところ1週間しかない。ロイターによると欧州委員会のフォンデアライエン委員長は25日、「良い合意に達する」ためには、相互関税の上乗せ部分の停止期限である7月9日まで時間が必要だと述べた。トランプ対E U、状況は喧嘩外交の様相を呈している。
そんな中でBloombergは今朝、トランプ氏が交渉期限の延長を認めたと伝えた。一方で同通信社は「関税がなければ家計状況はもっと良かっただろうとの回答56%」「全体の69%、関税の結果として日用品の値上がりを予想と回答」との世論調査の結果を伝えている。もともとトランプ氏に批判的なメディアではあるが、トランプ関税の評判が予想以上に悪いことを示している。トランプ関税で好結果を出さない限り、来年の中間選挙は危ない。焦るトランプ。とりあえず、すぐに結果を出せるのは相互関税しかない。余計に強圧外交が激しくなる。だが、敵もそう簡単に応じるわけにはいかない。時間がかかる。この間、世論もどんどんと関税に対する期待を縮小させていく。来年度の予算案は下院を通過した。だが、上院ではより激しい修正要求が待っている。民主党だけではない。身内の共和党内も一致団結しているわけではない。となれば、頼るのは関税しかない。そんな心境だろう。
一方で、ウクライナもガザも戦争の激化に歯止めがかからない。ロイターは今朝、ロシアがウクライナに大規模空爆を仕掛けていると報じている。ガザでもイスラエルの空爆により連日多数の死傷者が出ている。にもかかわらずトランプ氏は“沈黙”を守ったままだ。トルコでの形式的な停戦交渉のあとはSNSへの投稿もない。これは何を意味するのか。関税で頭が一杯になり、発信する余裕がないのではないか。下衆の勘繰りだが、それ以外に明確な理由があるのだろうか。仮にあったとしても発信しない限り、下衆にはわからない。トルコでの停戦交渉のあと記者団が「ロシアへの制裁は発動するのか」と質問した。答えは「それをすればこの戦争はより複雑になる」と答えている。裏に何かありそうな気もするのだが、現実的にはプーチンのウ国攻撃が激しさを増しているだけだ。トランプディール、単なるショーでしかないのか?そうだとすれば、化けの皮が剥げるまでに多くの時間は必要ないだろう。