▽IAEA事務局長、イラン・フォルドゥの濃縮施設「もはや稼働していない」

IAEAのグロッシ事務局長=ウィーン(共同)
IAEAのグロッシ事務局長=ウィーン(共同)

【ハーグ=黒瀬悦成】国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は26日、米軍の地下貫通型爆弾が投下された中部フォルドゥの地下ウラン濃縮施設について「もはや稼働していない」との見方を明らかにした。仏ラジオとのインタビューで述べた。

IAEAは、米軍によるイラン核施設の攻撃後、現地での査察を実施できていない。グロッシ氏は、衛星画像だけで損害の程度を評価するのは困難としながらも、爆弾投下による衝撃の大きさと、ウラン濃縮用の遠心分離機が激しい振動に対して弱いことを勘案すると「甚大な被害は免れない」との見方を明らかにした。

その上で、イランの核開発能力が低下したのは「事実だ」とし、「イランが以前と同じペースで(核開発を)進めるのは一層困難になる」と分析した。

同氏は一方で、イラン国内の全ての核施設が攻撃されたわけではないことに加え、既に濃縮済みのウランについては「保護措置」が取られていると複数のイラン当局者から聞かされていると指摘し、イスラエルと米国の攻撃によってイランの核計画が一掃されたとするのは「言い過ぎだ」と語った。

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