アメリカのトランプ大統領は、中国の過剰生産によって安く輸入されている鉄鋼製品がアメリカの安全保障の脅威になっているとして、25%の高い関税を課す異例の輸入制限措置の発動を来週にも正式に決める意向を明らかにしました。主な標的は中国ですが、日本を含む各国が措置の対象になる可能性もあり、貿易摩擦の激化や世界経済への影響が懸念されています。
アメリカのトランプ政権は、戦闘機や軍艦の製造に使われる鉄鋼やアルミニウムが中国で過剰に生産されて国際的に価格が下落し、各国から不当に安く輸入されているとして、安全保障への脅威を理由に大統領権限で行う異例の輸入制限措置の発動を検討しています。これについてトランプ大統領は1日、記者団に対し「鉄鋼には25%、アルミニウムには10%の関税を課す。この措置は長い期間にわたるだろう」と述べ、来週にも措置の発動を正式に決める意向を明らかにしました。
トランプ大統領は措置の対象になる国を明確にしませんでしたが、主に標的とする中国だけでなく、日本を含め鉄鋼やアルミニウムをアメリカへ輸出するすべての国が対象となる可能性もあり、貿易摩擦の激化や活発な貿易に支えられる世界経済への影響が懸念されています。
今回の措置は通商拡大法232条に基づくものですが、アメリカの歴代の政権は自由な貿易を損ないかねないとして発動には慎重な対応をとってきました。実際に発動されたのは、法律ができて50年余りで1980年前後に政治的に鋭く対立したリビアとイランからの原油だけとなっています。