[ニューヨーク 13日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、ドルが大部分の主要通貨に対して下落した。2月の米消費者物価指数が予想通りの結果となったことで、連邦準備理事会(FRB)の利上げペースは緩やかなものにとどまるとの見方が裏付けられたことが背景。この日は朝方、トランプ米大統領がティラーソン国務長官を更迭し、後任にポンペオ中央情報局(CIA)長官を充てると発表。これを受けドルは勢いを失った。
アナリストは、ポンペオ氏はイランの核合意や北朝鮮の核・ミサイル計画などを巡るトランプ大統領の強硬路線を具現化する見解を持っていると指摘。フォレックス・ドット ・コム(ニュージャージー州)の調査部門責任者、ジェームズ・チェン氏は、「ポンペオ 氏はトランプ大統領に似た反グローバル主義的な見解を持っているとみられる」とし、「 次期米国務長官がトランプ氏の保護主義的な貿易政策の支持者である公算が大きいことが 、ドルに対するリスクとなっている」としている。
労働省が発表した2月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.2% 上昇と、前月の0.5%上昇から勢いが鈍化したが、市場予想と一致した。変動の大きい 食品とエネルギーを除いたコアCPIも前月比0.2%上昇し、市場予想と一致した。 前出のフォレックス・ドット・コムのチェン氏は、「前月から鈍化したことで、FR Bは予想より速いペースで利上げを実施する必要があるとの考えが後退した」としている 。 CPI統計発表を受け、フェデラルファンド(FF)金利先物は年内4回の利上げが 実施される確率が低下したことを示す水準となった。
終盤の取引で、主要6通貨に対するドル指数は0.2%下落の89.694。 ユーロ/ドルが0.5%高の1.2363ドルとなったことが影響した。ドルはス イスフラン、英ポンド、豪ドル、ニュージーランド(NZ)ドルNZD =に対しても下落している。 ドル/円は0.1%高の106.51円。学校法人「森友学園」への国有地売 却に関する財務省の決裁文書が書き換えられていた問題が発覚してから、円は主要通貨に 対し0.3─0.5%下落している。