[ニューヨーク 9日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、米中貿易摩擦を巡る懸念がくすぶる中、ドルが主要通貨バスケットに対し下落。一方、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁のコメントを追い風にユーロは上昇した。主要6通貨に対するドル指数.DXYは0.3%低下の89.842。一時3月28日以来の安値となる89.818をつける場面もあった。

ジェフェリーズの為替マネジング・ディレクター、ブラッド・ベクテル氏は、この日のドル下落について「貿易摩擦が一因」と指摘した。また、ブルームバーグは同日、中国が米国との貿易摩擦における対応措置として、人民元の段階的な切り下げを検討していると報道。これを受け、元は対ドルでの上げを縮小した。ベクテル氏は同報道によって為替相場に漂う不透明感が一段と高まったほか、新興国通貨にも影響が及んだと指摘した。

こうしたなかユーロ/ドルEUR=は0.32%上昇。ドラギ総裁は同日公表の年報で、今年に入ってからの株式市場のボラティリティーはユーロ圏の金融情勢に著しい影響を及ぼしていないとの見解を示し、ECB当局者が最近の市場の動乱に平静を保っていることを示唆した。ING銀のFXストラテジスト、ビラジュ・パテル氏は「ドラギ総裁のこの日のコメントはECB理事会でのコメント以上にユーロへの支えとなった」と述べた。ただ、アナリストの間からは、薄商いの中ユーロの動きは誇張された可能性があるとの指摘も聞かれた。

米中貿易問題を背景に、市場では中国の習近平国家主席が10日にボアオ・アジアフォーラムで行う演説が注目されている。ポンドは対ドルで0.29%高、対ユーロでも上昇した。3月の英住宅価格指数が昨年8月以来の高い伸びとなり、市場予想を上回ったことが材料視された。カナダドルCAD=も対ドルで上昇。カナダ中銀の調査報告から、貿易を巡る不透明性が存在するにもかかわらず、同国企業が引き続き売上高動向を楽観視していることが明らかとなり、将来の追加加利上げ観測を支えた。一方、ドルはロシアルーブルRUB=に対し3.79%急伸。米国による対ロシア制裁措置を受けルーブル売りが膨らんだ。

ドル/円
NY終値 106.75/106.78
始値 107.08
高値 107.13
安値 106.62

ユーロ/ドル
NY終値 1.2319/1.2322
始値 1.2272
高値 1.2330
安値 1.2267