[ニューヨーク 20日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、米国債利回りの上昇を背景にドル指数が2週間ぶりの水準に上昇した。一方、英ポンドは前日の英中銀総裁のハト派的な発言が影響し引き続き軟調となった。
今週は米連邦準備理事会(FRB)当局者から、米経済が安定的に成長していることを根拠に、年内は一段の利上げが実施されるとの見方の示唆が相次いだ。一方、欧州中央銀行(ECB)総裁、およびイングランド銀行(英中央銀行)総裁は、経済指標が思わしくないことで利上げは急がないとの姿勢を示唆。マニュライフ・アセット・マネジメント(ボストン)のシニア投資アナリスト、チャック・トメス氏は「米国債利回りの上昇がドル高に貢献した」としている。
米2年債US2YT=RR利回りはこの日、2.453%と2008年9月以来の水準に上昇。独2年債DE2YT=RRとの利回り格差は302ベーシスポイント(bp)と、約30年ぶりの水準に拡大した。ただ、ドルに対する全般的な見通しを巡っては、米国の貿易・財政赤字が拡大するとの観測の中、先行き不透明感が払拭(ふっしょく)されていない。主要6通貨に対するドル指数.DXYは一時約2週間ぶりの高水準となる90.477に上昇。終盤の取引では0.4%上昇の90.314となっている。ドル/円JPY=は0.2%高の107.50円。一時は107.85円と、2週間ぶり高値を付けた。ユーロ/ドルEUR=は1.2248ドルと、2週間ぶり安値を更新。週初からの下落率は0.39%となり、週間としては2カ月ぶりの大きな下落となった。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁はこの日、ユーロ圏経済が繁栄し続けるには力強い世界的な成長と開放的な貿易が必要となるとの考えを表明。ユーロ圏経済は堅調に拡大しており、成長の裾野は業界ベース、国ベースで広範にわたっているとの見方も示した。ただ、ニューバーガー・バーマン(ロンドン)の外為マネジメント部門責任者のウゴ・ランチオーニ氏は「ユーロ圏の経済活動は2017年は非常に力強かったが、その後は失速している」とし、「ECBは慎重になっている可能性がある」と指摘。一部アナリストの間ではECBが来週の理事会で一段の政策変更を示唆することについては疑念が出ている。英ポンドGBP=D3は0.4%安の1.4032ドル。 週初からの下落率は1.4%となり、週間の下落は10週ぶりの大きさとなった。
英中銀のカーニー総裁は前日、英国の経済指標は「まちまち」となっているとしたほか、金融政策委員会(MPC)会合は年内に他にも予定されていると発言。これを受け、英中銀が5月の会合で利上げに動くとの観測が後退した。
商品(コモディティー)関連通貨は中国の在庫減を背景に下落。豪ドルAUD=D4とニュージーランド(NZ)ドルNZD=D4は少なくとも2週間ぶりの安値を付けた。
ドル/円
NY終値 107.65/107.68
始値 107.63
高値 107.85
安値 107.51
ユーロ/ドル
NY終値 1.2286/1.2290
始値 1.2302
高値 1.2312
安値 1.2251