[ワシントン 27日 ロイター] – 米商務省が27日発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)の速報値は、年率換算で前期比2.3%増と、前期の2.9%増から減速した。個人消費が5年近くぶりの弱い伸びとなった。ただ労働市場の引き締まりや大規模な財政出動を踏まえると経済減速は一時的な現象とみられる。市場予想は2.0%増だった。
第1・四半期GDPは、季節調整の要因で鈍化する傾向があり、経済の実態を正確に映し出していない可能性がある。労働市場は最大雇用状態に近い。また、企業・消費者信頼感はともに底堅い。労働省がこの日発表した第1・四半期の雇用コスト指数(ECI)統計では、賃金・給与の伸びが11年ぶりの大きさとなった。
エコノミストらはGDPが第2・四半期に加速するとみている。トランプ政権による1兆5000億ドル規模の減税政策が、消費者の給与に反映され始めることが予想されるからだ。減税は1月に発効した。法人税や個人の所得税が下がったほか、財政出動の効果もあり、年間経済成長はトランプ政権の目標とする3%まで加速するとみられる。
米連邦準備理事会(FRB)当局者は第1・四半期GDPの減速に懸念を示さないとみられる。FRBは先月、底堅い労働市場と経済を理由に金利を引き上げた。年内に少なくともあと2回利上げする見通しを示している。4月上旬に公表された3月20─21日の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨によると、当局者らは「第1・四半期の経済の弱含みは一時的」との見方を示した。「季節調整要因が指標に影響しているほか、経済の基礎的条件は総じて底堅い」とした。
第1・四半期GDPの内訳は、米経済の3分の2以上を占める個人消費が1.1%増と、2013年第2・四半期以来の小幅な伸びにとどまった。17年第4・四半期は4.0%増と、底堅く伸びていた。第1・四半期の個人消費は自動車と衣料、靴が落ち込んだほか、食品の伸びが鈍化した。税還付の遅れが原因とみられる。世論調査によると、減税が消費者の給与に反映され始めたのは第1・四半期の終盤ごろ。個人消費におけるファンダメンタルズは強化されつつある。
物価上昇圧力は高まった。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)価格指数は2.5%上昇し、07年第4・四半期以来の大幅な伸びとなった。17年第4・四半期は1.9%上昇していた。コアPCE価格指数はFRBが物価の目安としている。可処分所得は3.4%増と、前期の1.1%増から勢いが増した。貯蓄も増えた。
機器の設備投資は4.7%増。17年下半期は2桁台で伸びていた。一次産品価格の持ち直し効果が薄れてきたことが機器投資減速の一因。エコノミストらは、金利の上昇や原材料の値上がりによる機器投資への影響は限定的とみる。住宅投資は横ばいだった。住宅市場が深刻な供給不足に直面する中、不動産業者の手数料が落ち込んだことが抑制要因となった。前期は12.8%増だった。政府支出は1.2%増。前期の3.0%増から減速した。米議会が最近、債務上限を上げたことから第2・四半期は政府支出が加速するとみられる。
貿易のGDPへの寄与度はプラス0.20%ポイント。冬季五輪に関連した放送特許により輸入が増えたものの、輸出の増加がそれを上回った。ドル安と世界経済の強さを背景に米輸出が増えている。個人消費の鈍化に伴い在庫投資は331億ドルと、前期の156億ドルから増えた。在庫投資の寄与度はプラス0.43%ポイント。前期はマイナス0.53%ポイントだった。