• 予想下回るCPIと好調な米国債入札で30年債が1カ月ぶり大幅高
  • BMOのストラテジスト、5-30年債スプレッドのさらなる縮小予想

10日の米国債市場では5年物から30年物のイールドカーブ(利回り曲線)フラット化(平たん化)が進み、5-30年債の利回り格差(スプレッド)が2007年8月以来の低水準となった。事前予想を下回る米インフレ率に加え、過去最大規模の米国債入札では需要が旺盛で、投資家は長期債保有に自信を深めた。

5-30年物のスプレッドは4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り縮小し、4月に付けた前回の取引時間中の最低を下回って27.7bp。縮小幅は2月以来の大きさ。ブルフラット化が進行し、2-10年物のスプレッドも狭まった。

米国ではここ最近のインフレ率の上昇が一服。米労働省が10日発表した4月の消費者物価指数(CPI)は、食品とエネルギーを除くコアCPIが前月比0.1%上昇、前年同月比では2.1%上昇といずれも予想を下回った。この影響もあってか、財務省が同日実施した米国債入札では、発行額が170億ドル(約1兆8600億円)と過去最大規模となった30年債の需要が旺盛だった。

グッゲンハイム・パートナーズのスコット・マイナード最高投資責任者(CIO)は同日ツイッターで、「イールドカーブのブルフラット化は、インフレが問題ではないということを示唆している」と指摘。「それでも、米金融当局が年内さらに3回利上げを実施するのを止めることにはならないだろう」との見方を示した。

イールドカーブのフラット化には、さらなる進行余地があるかもしれない。BMOキャピタル・マーケッツのストラテジストらは10日のリポートで、終値ベースで30bpを下回る5-30年物のスプレッドは20-25bpまで低下する「明確な道筋」を示唆していると指摘した。

10日の30年債相場は約1カ月ぶりの大幅上昇。利回りは約5bp低下の約3.11%と、他の年限よりも下げがきつかった。

原題:U.S. Yield Curve Flattest Since August 2007 as Long Bonds Soar(抜粋)