• 日米韓のベイン連合へ6月1日に2兆円で売却-半導体投資も加速
  • 車谷新体制の下、エネルギー・インフラなど4部門の戦略練り直しへ

東芝は17日夜、東芝メモリ株式の一部を米ベインキャピタルを軸とする日米韓連合に売却するための前提条件がすべて整ったと発表した。関係者によると、中国の独占禁止法当局から売却の承認を受けたという。これにより再建に向けた一連の課題が全てクリアになった。

発表によると、6月1日に譲渡を完了する予定。契約では売却額は2兆円となっている。売却完了で財務が改善される東芝は、今後も株式の一定割合を保有する東芝メモリの研究開発や生産設備に振り向ける方針だ。公表済みの2019年3月期の財務計画では、すでに東芝メモリの売却益9700億円を計上している。

東芝は米原発事業で発生した巨額損失を受け、2年連続の債務超過で上場廃止となるのを避けるため、稼ぎ頭である東芝メモリの売却を決めた。しかし関係国で唯一、中国当局の承認が得られず売却手続きが遅れていた。同社では複数の外資系ファンドを引受先とする6000億円増資で既に債務超過を回避していた。

東芝は15日、今後5年間にわたる「東芝Nextプラン」の検討方針も発表。今後は三井住友銀行元副頭取で外資系ファンドの幹部経験も持つ車谷暢昭会長兼最高経営責任者(CEO)の下で、一部継続保有する東芝メモリを含む半導体関連のほか、社会インフラ、エネルギーなどに分社化された4部門の成長戦略を練り直す。

東海東京調査センターの石野雅彦シニアアナリストは電話取材で、「株主とすれば東芝が今後どのように再生していくのか、東芝メモリがどのような形で既存株主にメリットとなるのか」が重要だと指摘した。