【青島(中国山東省)時事】中国とロシアが主導し、中央アジア4カ国、インドとパキスタン両国の計8カ国が加盟する上海協力機構(SCO)の首脳会議が9日午後、中国山東省青島で開幕した。関連の個別会談が始まった。同時期にカナダで開催中の先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)に対抗し、非西側諸国の結束を誇示。10日の閉幕時に採択する「青島宣言」では、北朝鮮の非核化支持やイラン核合意維持などを盛り込む方針だ。
習近平国家主席は9日夜の歓迎晩さん会で、「心を合わせて協力し、共に上海協力機構発展に向けた新たな道のりを始めよう」とあいさつした。
習主席とプーチン大統領は8日、青島入りを前に北京で会談。共同声明で「朝鮮半島問題の平和的な全面解決に向けて協調と努力を続ける」と確認した。12日に迫った米朝首脳会談を前に、後ろ盾を演じる中ロ両国が連携し、米国をけん制した格好だ。
SCO首脳会議には準加盟国イランのロウハニ大統領も参加した。中ロはイラン核合意の当事国で、8日の中ロ共同声明は、トランプ米政権の核合意からの離脱表明が「人々を失望させた」と明記した。特に中国は原油などの資源確保やインフラ整備需要などの面でイランとの関係を重視しており、SCO首脳会議を通じて両国は米国を意識し、より接近を進めそうだ。
今回の首脳会議では主催国・中国が提唱するシルクロード経済圏構想「一帯一路」促進も主要な議題だ。中央アジア4カ国やパキスタンは中国からの投資拡大などを狙い、支持を強めている。範囲が一部重なる「ユーラシア経済同盟」を主導するロシアも連携する姿勢を示す。
しかし2017年のSCO正式加盟後、初めて首脳会議に出席するインドは、南アジアへの中国の影響力拡大を嫌い、「一帯一路」と距離を置く。習主席とモディ首相は4月に会談し、関係改善で一致したが、国境紛争などの対立は解消していない。