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中国は官僚主義で反撃か、ECB利上げ急がず、習主席の切り札
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クルーグマン教授の警告、システミックリスクじわり
トランプ米大統領は中国との貿易について、「もしかしたら状況が変わって、この25年間は公正ではなかったと、相手が認めてくるかもしれないが、そう簡単にはいかなさそうだ」と発言。交渉によって対立を和解に導くシナリオを楽観していないことを明らかにしました。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
反撃は官僚主義で
トランプ政権が中国製品に対する追加関税を発動すれば、中国は通関手続きの遅延や税務監査、規制当局の調査強化などを通じ、アップルやウォルマート、ゼネラル・モーターズ(GM)など中国で事業を展開している米企業に報復する可能性がある。米国は中国に対して多額の貿易赤字を抱えているが、ドイツ銀行の分析によると、米企業の対中輸出と中国国内での売り上げの両方を計算に入れた場合、米国は中国との商取引で200億ドルの黒字を上げている。
利上げ急がず
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は利上げ開始まで時間をかける考えを明らかにした。ECBは少なくとも2019年夏の終わりまで金利を据え置く方針を示している。総裁は「初回利上げ時期の決定について辛抱強い姿勢を維持し、その後の政策調整は段階的に行う」と表明した。この発言を受けてユーロは一段安となった。総裁はさらに見通しのダウンサイドリスクとして、世界的に広がる保護主義と、原油高、金融市場の高いボラティリティーが長引く可能性の3つを挙げた。
切り札温存
3月以降で3度目となった金委員長の中国訪問は、習近平国家主席がトランプ大統領との貿易紛争で使えるカードが単に大豆輸入やボーイングとの購入契約にとどまらないことを示唆した。中国はこれまでのところ、通商問題と北朝鮮問題を結びつけるような言動は避けている。政治リスクを分析するGRiskの共同創業者、チューチェン・フェン氏は「中国側は北朝鮮を交渉材料として利用することに極めて慎重になる」と指摘。「北朝鮮カードは米中関係における最終兵器として使いたい考えだろう」と述べた。
行き着き先
ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン教授はトランプ米大統領が貿易戦争に向かって進んでいると批判し、「世界経済を破壊するところまで行くのかは分からないが、相当な可能性があるのは確かだ。50%?30%?」とツイッターで問い掛けた。サマーズ元米財務長官もこれより先、先進国には次のリセッション(景気後退)への準備が十分整っていないとの警鐘を鳴らし、世界の主要中央銀行はインフレを抑制するためだけの利上げには慎重を期すべきだと述べた。
システミックリスク
地域と資産クラスの相関関係をまとめたモルガン・スタンレーの指数は、2016年12月以来の高水準に達し、貿易摩擦を背景にしたリスクオフが単にトランプ大統領のツイートに振り回されているのではなく、もっと長期化する可能性があることを示した。今年に入ってからの質への逃避は今のところ短期的で、資産クラスを越えたドミノ現象は起きていないが、オリーブツリー・ファイナンシャルのティム・エモット氏によれば、市場に不安感が浸透するにつれ状況は変わる可能性がある。
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