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クラウレ・ミスラ・佐護氏の「責任明確化」「権限委譲」と会社は説明
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新体制の「お手並み拝見」、「孫氏の影響残る」と賛否両論
ソフトバンクグループが創業以来初となる3副社長体制に移行する。マルセロ・クラウレ氏(47)、佐護勝紀氏(50)、ラジーブ・ミスラ氏(56)が株主総会などを経て取締役副社長に就任する見通し。市場では孫正義会長兼社長(60)の後継者選びの再開を連想する見方も浮上する。
ソフトバンクは20日午前10時から都内で開く定時株主総会で、クラウレ氏とミスラ氏の取締役再任、佐護氏の取締役新任などを議案として株主に諮る。広報担当の小寺裕恵氏は今回の人事の狙いについて「役割と責任を明確にし、併せて権限委譲を進めることで市場環境の変化に迅速かつ柔軟に対応するため」と説明した。
孫氏が「後継者候補」と名指ししたニケシュ・アローラ氏(50)がソフトバンクを去ってから約2年。孫氏は海外を含む携帯事業の強化方針を維持する一方、IT革命を加速させるとして10兆円規模のファンドを主導し世界を飛び回る。市場の関心は3副社長体制を取った孫氏の真意に集まっている。
BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは「また孫さんが面白いことをやっている。どういう体制が一番いいのか実験しているようだ」と指摘。今回の動きを後継者選びの一環と受け止め、こうした孫氏のアイデアと3人の手腕を「市場はお手並み拝見という感じでポジティブに見ている」と述べた。
三者三様
クラウレ氏は米国で携帯電話の卸売りを手掛けるブライトスターを創業、2013年にソフトバンクに同社を売却後、スプリントの最高経営責任者(CEO)に就任した。ゴールドマン・サックス証券出身の佐護氏は19日にゆうちょ銀行副社長を退任した。ミスラ氏はメリルリンチ出身でドイツ銀行やUBSで要職を歴任、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資助言会社CEOを務める。
ジェフリーズ証券のアツール・ゴヤール・シニアアナリストは、「3人の役割はまだ明確でなく会社への影響力も不透明だ」とした上で、「ソフトバンクは孫氏の会社で、孫氏はどこにもいかない」と述べ、この体制では経営にまだ孫氏の影響が残り続けるとの見方を示した。
クラウレ氏は5月に最高執行責任者(COO)に就任済み。佐護氏は6月20日付で最高戦略責任者(CSO)に就く。株主総会の招集通知によると、17年度の株式報酬を含めた報酬はクラウレ氏が13億8200万円、ミスラ氏は12億3400万円、孫氏は1億3700万円だった。