イギリス政府は、EU=ヨーロッパ連合からの離脱交渉の詳細な方針をまとめた白書を発表し、円滑な貿易のため、モノの取り引きについてはEUと共通のルールを採用するとしながらも、金融サービスや司法の分野では独自の政策をとる姿勢を示し、EUに理解を求めました。

イギリスで、今週、就任したラーブEU離脱担当相は、12日、離脱方針を盛り込んだおよそ100ページにわたる白書を議会に提出しました。

白書の中では、円滑な貿易を続けるために工業製品や農産品についてはEUと共通のルールを採用し、人の移動についても短期の観光やビジネスでは、EU市民にビザなしでの渡航を認める方針を明らかにしました。

一方で、金融サービスや司法の分野では独自の政策をとり、EUの規制を離れTPP=環太平洋パートナーシップ協定など各国との貿易協定の交渉を加速させることに意欲を示しました。

イギリス政府は、この白書をたたき台に交渉期限とされる10月までに離脱の条件で合意することを目指しており、ラーブ担当相は「野心的だが現実的な提案で、今度はEUが同じ精神で応じるべきだ」と述べ、EUの理解を呼びかけました。

ただ、EUからの完全な離脱を目指す強硬派からは、譲歩しすぎだとの批判の声が早くもあがり、保守党では首相の不信任を求める声もくすぶっています。

議会では、来週、離脱関連の重要法案の採決も控えており、メイ首相にとって厳しい政権運営が続きます。