• 漸進的利上げ方針を堅持、9月の利上げ確率は80%前後
  • ウィリアムズNY連銀総裁、FOMC副議長として初投票
パウエル議長、Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

米連邦公開市場委員会(FOMC)は7月31日-8月1日に開いた定例会合で、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を1.75-2%のレンジで据え置くことを決定し、景気拡大を健全なペースに保つため、漸進的な利上げ姿勢を維持する方針も示した。次回9月25-26日会合での利上げ確率は80%前後で変わっていない。

声明は経済活動が「力強いペースで拡大」しており、失業率は「低い水準で推移している」と指摘。「家計支出と企業設備投資は力強く伸びた」とした。

金利据え置きは予想通りだったが、FOMCは「FF金利の目標レンジのさらなる漸進的な引き上げが、経済活動の持続的拡大、力強い労働市場環境、およびインフレ率が中期的に委員会の対称的な2%目標付近で推移することと合致すると見込んでいる」との6月声明にあった文言を維持。9月に今年3度目の利上げを実施するため、地ならしをした格好だ。

トランプ大統領は先月、利上げは「うれしくない」と発言。FOMCの決定に政治的な影を落とした。ただ、エコノミストや投資家の間ではこの日の金利据え置きはほぼ確実視されていた。

マクロポリシー・パースペクティブスのシニアエコノミスト、ローラ・ロスナー氏は、金融政策当局者は「政治的な発言の影響をあまり受けておらず、注意も払っていない」と指摘した。

連邦準備制度理事会(FRB)の元理事で、現在はワシントンで政策調査会社を運営するローレンス・マイヤー氏は「FOMC声明には9月利上げの可能性を下げるような文言は何もない。市場は現在、9月利上げをほぼ確実視しており、当社もその見方に賛同する」と語った。

FOMCは経済見通しへのリスクについて、「おおよそ均衡している」とし、「金融政策のスタンスは引き続き緩和的だ」とあらためて表明した。

前回6月の会合後に示した当局者の経済予測では、大半の当局者は2018年の利上げ回数を3回あるいは4回と見込んでいることが明らかになり、年内あと1回か2回の利上げが示唆された。パウエルFRB議長の記者会見はこの日の定例会合後にはなく、次回9月25ー26日の会合後に予定されている。

ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、マーク・ビトナー氏は「貿易交渉やそれに絡んだ激しい応酬が年内の経済活動を鈍化させるとの懸念は強い」と指摘。「全ての要因が9月と12月の追加利上げを後押ししているのは確かだが、まだ確実とは言えない」と述べた。

FF金利先物相場の動向によると、12月に今年4度目の利上げが実施される確率は60%超となっている。

4ー6月期の米経済成長率は4.1%と、2014年以来の高い伸びとなった。6月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.2%上昇と、当局の目標である2%近辺。食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は1.9%上昇だった。

声明は総合インフレとコアインフレの両方が「2%目標付近で推移する」との見通しを示した。

6月の失業率は4%と、当局が完全雇用と推計する水準である4.5%を下回っている。漸進的な利上げという方針は、逼迫(ひっぱく)した労働市場がインフレを誘発することなく、労働力人口の拡大と賃金上昇に引き続きつながり得るかどうか、当局が見極めたいと望んでいることを示している。

この日の決定は賛成8、反対ゼロの全会一致。ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁は、FOMC副議長として初めて投票した。カンザスシティー連銀のジョージ総裁はサンフランシスコ連銀総裁の代わりを務めた。ウィリアムズ氏が総裁だったサンフランシスコ連銀は後任人事を模索している。

原題:Fed Leaves Key Rate Unchanged With Economy at ‘Strong Rate’ (2)(抜粋)
Fed Keeps September Rate Hike in Focus Amid ‘Strong’ Economy