3日のニューヨーク外国為替市場ではドルが下落。米中間で貿易を巡る対立が激しさを増したことが背景にある。米雇用統計が予想ほど強くなかったことから、金融政策当局の利上げは漸進的なものになるとの見方もあらためて広がった。ドル指数は、週間では3週ぶりの上昇となった。
ドルはこの日、主要10通貨に対して高安まちまち。安全通貨や資源国通貨が大きく上げた。週間ベースでは、カナダ・ドルが最大の値上がり。一方でポンドは下落した。
朝方発表された7月の米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことを受けて米10年債利回りは低下。さらに米供給管理協会(ISM)が発表した7月の非製造業総合景況指数は11カ月ぶり低水準となったことに反応し、同利回りは下げを拡大した。
ニューヨーク時間午後4時47分現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比0.1%低下。ユーロは対ドルで0.2%安の1ユーロ=1.1566ドル。円は対ドルで0.4%上昇し1ドル=111円26銭。
欧州時間に上げていたドルは、ニューヨーク時間の朝方早くに下げに転じた。中国人民銀行(中央銀行)が、為替フォワード取引の一部を対象に、20%の準備金預け入れを義務付けると発表したことが背景にある。人民銀は声明で、貿易摩擦が高まる中で外為市場にはボラティリティーの兆候が出ているため、マクロ金融面でのリスク回避を狙ったと説明した。
クドロー委員長は3日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「関税や関税障壁、補助金をこれまで何度もわれわれは否定してきた。望むのは貿易改革だ。中国は実行していない」と発言。「中国の経済は弱く、通貨も弱い。国民は逃げ出している。最後までやり通すというトランプ大統領の決意を甘くみてはならない」と話した。
欧州時間の取引
欧州時間にドルは上昇。米雇用統計が力強い内容になるとの見方から、さらなる利上げが支持されるとの見方が広がった。一方でポンドは下落。イングランド銀行(英中銀)のカーニー総裁が、英国が合意なしに欧州連合(EU)を離脱する可能性は「居心地が悪いほど高い」と発言したことが手掛かり。
原題:Dollar Pares Week’s Gains as Trade Fracas Heats Up: Inside G-10(抜粋)
Dollar Advances Before U.S. Payrolls; Pound Slides: Inside G-10