• トルコ当局は利上げを実施しても新たな米制裁で相殺されると懸念
  • エルドアン大統領は対米対決姿勢を崩していない

トルコの金融市場の混乱は今週も続く見込みだ。政策決定のまひ状態が進む中、米国との対決姿勢には軟化の兆しが見られない。

エルドアン大統領は12日の演説で、米国と金融市場の通説に挑む姿勢を変えなかった。トルコと米国の当局者らは、トルコ・リラが1カ月で25%下落する事態を招いた混乱を収束させる手段を有しているものの、それを使おうとする意思を欠いている。

トルコ中銀と財務省には、エルドアン大統領に権力を集中させる新たな憲法秩序と米制裁の圧力がかかっており、同国市場に大打撃を与えた2001年の金融危機以来最悪の混乱状態をほとんど傍観するだけにとどまっている。01年の危機は国際通貨基金(IMF)の救済につながり、エルドアン氏の権力掌握への道を開くこととなった。

投資家はリラ相場下支えのためトルコ中銀の抜本的な措置を求めているが、トルコ当局者は政策金利を大幅に引き上げたとしても、米国の新たな制裁により直ちに相殺されるのではないかと懸念している。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。

エルドアン大統領は、トランプ米大統領が両国関係修復の条件としているアンドルー・ブランソン牧師の解放に応じる意向は示していない。

エルドアン大統領は対米関係について、トルコは新たなパートナーと市場を懸命に探しており、過去の同盟国と「決別」する用意があると発言。政策金利に関しては、富裕層をさらに豊かにするだけでの道具だと述べ、自分が生きている間は決して屈しないと述べた。またIMFとの合意についても、これを促す人たちはトルコの政治的独立性の放棄を要求しているとして否定した。

トルコの政策決定のまひ状態は、6月の選挙でエルドアン大統領への権力集中と議会の弱体化が進んだ結果、生じた。同国では17年の国民投票で、大統領に権限を集中する憲法改正案が承認されていた。

 

原題:Turkey’s Policy Making Paralysis Promises More Tumult in Markets(抜粋)