[ニューヨーク 4日 ロイター] –
ニューヨーク外為市場では、米中通商問題を巡る緊張が高まる中、安全資産としてのドルの需要が増大し、ドルが広範な通貨に対し上昇した。終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数は0.34%高の95.464。一時は95.737と、2週間ぶりの水準に上昇した。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(ニューヨーク)のグローバル外為戦略部門責任者、マーク・チャンドラー氏は、「前週の中頃は通商問題を巡る懸念の再燃のほか、米連邦準備理事会(FRB)による利上げを裏付ける経済指標が市場の注目材料となっていた」と指摘。この日の動きについて「こうした大きな流れの中での動きが継続している」と述べた。

米供給管理協会(ISM)が朝方発表した8月の製造業景気指数は61.3と、前月の58.1から上昇し、2004年5月以来約14年ぶりの高水準となった。チャンドラー氏は「基調的なドル高トレンドが再び見られている」と指摘した。

通商問題を巡っては、トランプ米大統領が2000億ドル規模の中国製品に対する追加関税を週内のパブリックコメント期間終了後に発動させる意向であると報じられているほか、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡り、前週に2国間協議での合意を持ち越した米国とカナ
ダは5日に協議を再開する。

NAFTA再交渉の行方の不透明感が払拭されず、カナダドルはこの日の取引で対米ドルで6週間ぶり安値を更新。前出のチャンドラー氏は「トランプ大統領はメキシコに焦点を当てているが、カナダ、中国、欧州諸国に対し譲歩する意向もまったくないとみている」と述べた。
世界的な通商を巡る問題で輸出依存度が高い新興国が余波を受けるとの見方から新興国通貨が売られており、JPモルガンの新興国通貨指数は2017年5月以来の低水準を更新。トルコリラTRY=D3やメキシコペソなどが対ドルで下落した。

アルゼンチンペソはマクリ政権が野心的な新財政目標を達成できるのか疑念が出ていることから、対米ドルで約3%下落した。南アランドも対米ドルで約3%下落。第2・四半期の経済成長率がマイナス0.7%となり、2四半期連続でマイナス成長となったことが売りを呼んだ。
新興国通貨に対する売りが止まない中、ユーロも0.41%安となっている。
英ポンドは下げ幅を縮小し、対ドルで約0.1%安。イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁がこの日、任期が終了する2019年6月末以降も留任する用意があると示唆したことが支援材料となった。

ドル/円
NY終値 111.44/111.47
始値 111.42
高値 111.51
安値 111.16

ユーロ/ドル
NY終値 1.1581/1.1583
始値 1.1559
高値 1.1589
安値 1.1531