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スバル、新たな不正発覚 関心高い「安全性能」に疑問符<朝日新聞デジタル>2018年9月29日00時06分

スバルは28日、自動車の性能を出荷前に確かめる検査での不正が、ブレーキやステアリング(ハンドル)をめぐって新たに見つかったと発表した。これまでの不正は排ガスや燃費で判明していた。車メーカーではさまざまな検査不正が相次ぐが、安全性能での不正発覚はスバルが初めて。

リコール(回収・無償修理)は現時点ではしない方針。安全性に支障がないか、国土交通省が今後の立ち入り検査で調べる。

先に発覚していた排ガスや燃費性能での測定データの改ざんを受け、スバルが委託した社外の弁護士らが調査。国交省にこの日、報告書を提出した。

報告書によると、新たな不正は、群馬製作所(群馬県太田市)が、ここで組み立てた全車を対象に行ってきた「全数検査」で見つかった。この製作所はスバルの国内唯一の完成車工場だ。測定値が社内の規格を外れていたのに収まっているかのように測定方法を変えたり、測定をやり直さなかったりする不正が複数あった。

例えば、後輪のブレーキの制動力を確認するのに、ブレーキペダルだけを踏むべきところをハンドブレーキも引いていた。逆に、ハンドブレーキの制動力を確認する検査では、ブレーキペダルも踏んでいた。報告書は「タイヤの制動力を不当にかさ上げする行為」と指摘した。

ハンドルを切ってタイヤの動く範囲が社内の規格に満たない場合、車体やタイヤを手で押して規格内だと装った例も見つかった。

検査員への聞き取りではブレーキをめぐる不正は1997年からあった、との証言も出たが、測定値などの記録が残っていないため台数や時期の特定は困難、としている。

スバルの中村知美社長はこの日夕に記者会見し「信頼を損ね、ブランドを傷つけた。申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と陳謝した。

ただ、道路運送車両法の保安基準には違反しておらず安全性能には問題ない、との認識も示した。ブレーキなどの性能は、「全数検査」の後に別途行う「抜き取り検査」でも確認していることを根拠にしている。ただ、抜き取りの割合は100台に1台という。

一方、先に発覚していた「抜き取り検査」での排ガスや燃費性能の検査不正については、6月の公表分より318台増えて計1869台になったとした。

不正が相次いだ原因については、検査工程で検査員に過大な業務量が課されていたこと、内部統制が脆弱(ぜいじゃく)だったこと、検査業務に対する経営陣の認識や関与が不十分だったことなどを指摘。不正の手口が先輩から後輩に口頭で引き継がれていたとも認定している。

スバルは当初、報告書を7月初旬をめどに提出するとしていたが、大幅に遅れた。車の検査不正をめぐっては、日産自動車が燃費や排ガスについての報告書を26日に国交省に提出。スズキも同日、新たな不正を明らかにしていた。(贄川俊、高橋克典)

調査報告書の概要

【新たに見つかった主な不正】

・ブレーキの性能検査でブレーキペダルだけを踏むべきなのに、ハンドブレーキも引いた

・ハンドルを切ってもタイヤが社内規格まで曲がらない時、車体やタイヤを押した

・排ガスや燃費性能の検査データ改ざんなどが318台増えて計1869台に

【不正の背景】

・検査員に過大な業務量が課されていた

・検査業務への経営陣の認識や関与が不十分だった

・不正の手口が先輩から後輩に口頭で引き継がれていた

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