30日に投開票される沖縄県知事選では、割合が全国平均の約2倍にも上る子供の貧困対策も焦点の一つだ。県内では生活支援や基金の設立など官民一体の取り組みも進み、関係者は新しい知事に「子供への投資」の施策を期待する。
27日午後。不登校や引きこもりの子供に居場所を提供する「kukulu(ククル)」(那覇市)に十数人の少年少女が集まった。不登校で約2年前から通う女子中学生(13)は「ここに来ることで外に出られるようになった」と笑顔を見せた。
ククルでは週5日、不登校の子を対象に学習支援やキャリア教育、調理実習などさまざまな支援活動を展開。運営するNPO法人「沖縄青少年自立援助センターちゅらゆい」によると、主に10代の約30人が利用している。
金城隆一代表(45)は「経済的に厳しい家庭事情を背景に、学校に行きづらくなる子が増えている」と説明する。母子家庭の子供の中には、きょうだいの世話で精いっぱいで、勉強が追い付かず不登校になってしまうケースもあるという。
沖縄の子供の貧困率は、2014年に29.9%と全国平均の約2倍に迫り、1人当たり県民所得は全国最下位が続く。16年度の高校の不登校生徒数(千人当たり)は全国1位で、県は基金30億円を積み立て、市町村の対策事業に交付している。
知事選の有力候補者も、それぞれ施策を打ち出している。自民、公明両党などが推す佐喜真淳氏は「子供の保育料、給食費、医療費の無償化を目指す」と主張。社民、共産両党などが支援する玉城デニー氏は、保育料の無償化や中高生のバス通学費無料化を公約に掲げる。
金城代表は「今後の沖縄をつくる人材が、経済格差で可能性を奪われているのが現状。(新知事には)ケアでなく投資という考え方で施策を進めてほしい」と話している。()