【北京時事】安倍晋三首相は26日午後、北京の釣魚台迎賓館で中国の習近平国家主席と約1時間20分会談した。安倍首相が来年の訪日を要請したのに対し、習主席は「真剣に検討したい」と応じた。両首脳は新たな日中関係を築くとの認識で一致。「競争から協調」など三つの新原則や安定的な首脳往来を進めることを確認した。
安倍首相と習主席の会談は今年9月のロシア・ウラジオストク以来で8回目。会談冒頭、安倍首相は「競争から協調へ」「日中は脅威でなくパートナー」「自由で公正な貿易の推進」の三つの新原則を提案。習主席は「中日関係が正しい軌道に戻り、前向きな勢いを見せている」と応じた。
安倍首相は来年の訪日に加え、2020年の東京五輪開会式への出席も要請した。日本の対中政府開発援助(ODA)については終了する方針を伝達した。習主席は「貢献を高く評価する」と謝意を示した。北朝鮮の非核化に関し、両首脳は国連安全保障理事会制裁決議の完全な履行の重要性を確認。北朝鮮による日本人拉致問題について習主席は「日本の立場を理解し、支持する」と述べた。
東シナ海情勢について、安倍首相は現場の状況を改善するよう要請した。スパイ容疑などで拘束されている日本人の問題では「前向きな」対応を求めた。これについて習主席は「国内の法令に基づき適切に対処する」と述べるにとどめた。
中国が進めるシルクロード経済圏構想「一帯一路」をめぐり、安倍首相はインフラ投資に関する透明性などの確保を求めた。一方、中国側によると、習主席は両国の協力強化に向けた「モデルケースだ」と述べた。安倍首相は「潜在力のある構想で、第三国市場の共同開拓を含め中国との協力を強化したい」と語ったという。