[横浜市 17日 ロイター] – 日産自動車(7201.T)は17日、取締役会を開き、コーポレート・ガバナンス(企業統治)体制、取締役の報酬制度の見直しに向けて独立した第三者の提言を取り入れる「ガバナンス改善特別委員会」(以下、ガバナンス委員会)の設置を決議したと発表した。同取締役会では当初、カルロス・ゴーン前会長の後任人事も決める予定だったが、人選を任されていた社外取締役3人から「継続協議する」との報告があり、会長人事は先送りされた。 

後任の会長は、ガバナンス委員会の提言を踏まえて決める方針。西川廣人社長兼最高経営責任者(CEO)は取締役会終了後に会見し、新会長を選ぶ時期について「いつまでに決めてほしいと急かすつもりはない」と述べた。 

同委員会からの提言は、来年3月末をめどに受ける予定だが、「3月末までに決まらなくてもいいかなと思っている。十分に時間をとって欲しい」とも話した。西川社長自身が会長も兼務する案に関しては「そこも含めて(同委員会に)いろいろ議論していただきたい」とし、「全くオープン」と述べた。 

日産の筆頭株主である仏ルノー(RENA.PA)が早期の開催を求めている日産の臨時株主総会については、ガバナンス委員会での議論を踏まえたうえで「次のアクションをとりたい」と説明。同委員会からの提案を受けるタイミングで、株主総会に向けて動くのが「ベスト」と話し、開催は来年4月以降になるとの見通しを示した。 

西川社長は、ゴーン前会長の不正行為を巡る社内調査の結果について、企業連合を組む三菱自動車(7211.T)にも同日説明したことを明らかにした。 

一方、ルノーにも同じ提案をしたが、ルノー側から弁護士を通してほしいとの要請を受けたため、「日産の弁護士からルノーの弁護士へというコミュニケーションにとどまっている。生々しい部分は取締役1人ひとりに届いていない」と語った。 

ガバナンス体制の見直しにあたっては「ルノーの意見は十分聞きながら進めたい」と西川社長は指摘。そのうえで「最終的に日産のガバナンスの責任を持つのはわれわれ。その意味では、われわれが納得する形にしないといけない」とも述べた。 

ガバナンス委員会は、会社法・ガバナンスに知見のある元高等裁判所長官で弁護士の西岡清一郎氏が委員長を務め、日本経団連名誉会長の榊原定征氏、弁護士の佐藤りえ子氏、神戸大名誉教授(会計学)の内藤文雄氏の4人と社外取締役3人の計7人の委員で構成する。 

白木真紀 編集:田巻一彦