[東京 18日 ロイター] – 政府は、一般会計の歳出総額を101兆4600億円程度とする2019年度予算案を固めた。次年度以降の予算編成に向けた「発射台」としては、消費増税対策を除く99兆4300億円程度だが、増税対策と合わせて積み上げた公共事業を今後、臨時・特別措置から切り離せるかは見通せない。赤字財政からの脱却は、さらに遠退きかねない情勢だ。
19年度政府案は、当初予算で初めて100兆円を超える。19年10月の消費税率10%への引き上げを前に、臨時・特別の措置として増税対策2兆0300億円程度を計上するためだ。
消費増税対策は、キャッシュレス決済時のポイント還元や住宅購入支援、公共事業の増額が柱となる。増税後の9カ月間、最大5%分のポイントを還元するのに必要な予算額は2798億円で、決済機器の導入費用も国が3分の2を補助する。
一方、住宅購入支援策では、創設する「次世代住宅ポイント制度」などに2085億円を計上。プレミアム商品券の発行にも1723億円を充てる。
増税対策の6割超は事業規模7兆円の強靭化対策への歳出となる。堤防や空港設備など重要インフラの緊急点検を踏まえ、19年度予算案では1兆3475億円を計上。18年度2次補正予算案と併せた国費は2.4兆円に上る。
政府は、これらの財源に、預金保険機構の利益剰余金8000億円など税外収入1兆2500億円を充て、足りない分は建設国債を7800億円発行して補う方針で、増税対策分を含めても、一般会計の基礎的財政収支(プライマリーバランス)が9.2兆円の赤字(18年度は10.4兆円の赤字)に改善する姿を示す。
ただ、「臨時・特例の措置」を含めた予算総額は、次年度以降の政治的な目安になりかねず、積み上がった公共事業費を今後縮減できるかも不透明感が漂う。
官庁別では、国土交通省の予算額の伸びがもっとも大きく、19年度は前年当初比1兆0800億円増の7兆0200億円程度。要求官庁と査定官庁の間で、わずかながらも増額を容認してきた過去の慣例を絶ち切れるかも焦点となる。