守護清恵、城塚愛也
米連邦公開市場委員会(FOMC)は18-19日に開いた定例会合で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25-2.50%のレンジへ引き上げた。2019年の利上げ見通しは前回予測の3回から2回に減少した。
利上げは今年に入ってから4度目。最近の株価急落を無視し、トランプ大統領からの圧力に逆らう格好となった。金融当局は来年の利上げ回数予想を減らすことで引き締め休止が近づいている可能性を示唆したが、予想中央値では2020年にはなお1回の利上げを見込んでいる。
これについての市場関係者の見方は以下の通り。
◎FOMC後のドル上昇、「超ハト派的」でない利上げが一因-BNP
米FOMCが利上げを決定した後にドルが上昇した一因は、利上げが「超ハト派的」ではなかったことだとの見方を、BNPパリバの外為戦略北米責任者ダニエル・カッツァイブ氏が示した。
- 「超ハト派的なシナリオを避け、市場が見込んでいるものが得られた」とカッツァイブ氏は電話インタビューで発言
- 1Qの経済指標はもう一度利上げを行うのに十分なほど良いと予想。これはドルがかなりよく持ちこたえることを意味する
◎FOMC後のドル高、「多少」逆戻りする可能性も-ウェルズF
FOMCの利上げ決定後のドル高の動きは、ハト派寄りのFOMC声明を理由に抑制され「多少」逆戻りする可能性がある。ウェルズ・ファーゴの通貨ストラテジスト、エリック・ネルソン氏がこう予想した。
- 「世界各国の中央銀行からさらなる動きが出てくるまで」向こう2カ月は全般的にドルの下落余地は限定的だとネルソン氏は電話インタビューでコメント
- さらに漸進的な利上げの検討継続がドルの強さとユーロの弱さの要因だろう
◎FOMC声明は予想よりハト派色薄い-ソシエテのラジャッパ氏
FOMC声明は予想されたほどハト派寄りではないと、ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略責任者、スバドラ・ラジャッパ氏はFOMCの決定と新たな経済予測の発表を受けてコメントした。
- インフレ期待に関する文言に変更がない点にラジャッパ氏は言及
- 声明は「幾分かの」追加利上げに言及しており、「データ依存への明確なシフトはない」とラジャッパ氏
- 「FOMCは基本的に金融引き締めスタンスを維持している」と同氏
◎イールドカーブは一段とフラット化、米追加利上げ示唆で-BMO
米金融状況の引き締まりとインフレ抑制傾向を認めるパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のコメントは、「今後の金融政策の道筋がより低くなるための下地を作っており」、米10年債利回りを押し下げると、BMOキャピタル・マーケッツの金利ストラテジスト、ジョン・ヒル氏が電子メールで指摘した。
- 金融当局が中立金利に向け利上げを続けて期間が短めの金利を押し上げる中、米イールドカーブは一段とフラット化する
- 2年債と10年債の利回り格差(スプレッド)が次に試されるのは9.2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)で、その次は5bpになり、最終的に「長短逆転に向けた協調した試みがあるだろう」
- 市場が織り込んでいる2019年3月と6月の利上げは「低過ぎると見受けられる」