政府が国際捕鯨委員会(IWC)を脱退し、商業捕鯨を30年ぶりに再開する方針を固めた20日、関係者に衝撃が走った。「ようやくこの日が来た」「重大な間違いだ」。歓迎と批判の声が入り交じって広がった。
日本の捕鯨発祥の地とされる和歌山県太地町。三軒一高町長は「沿岸捕鯨を守らないといけない。私たちは脱退すべきだと言ってきた」と政府の方針を歓迎した。町民の男性は商業捕鯨の再開に「捕ったクジラを近所に配る昔の文化の復活を心待ちにしている人はいる」と語る一方、「脱退しても反捕鯨の国際世論は変わらず、失うものは大きい」と欧米の反発を懸念した。
「ついにこの日が来た。予想以上に早い」と喜ぶのは、東京都内のクジラ料理店「ひみつくじら」店主の石川元さん(39)。「欧米からもお客さんが来るが、ほとんどは日本の伝統的なものに触れたいという思い。反対派はマイノリティーでは」と感慨深げだ。
外国人からは冷静な声も。東京・浅草を旅行中の米国人学生ホアン・パブロ・アルマグロさん(21)は「日本はクジラを捕り過ぎだ。IWC脱退には反対」と批判的な立場。フランス人の学生ジュリ・ディラウンディさん(21)は日本の捕鯨に理解を示しつつ、「フランスではあまり話題にならない」と淡々と話した。
環境保護団体グリーンピース・ジャパンは、「世界との歩調を乱す重大な間違いだ」と、政府の方針を厳しく非難。「クジラ頭数の回復に努めている国に続くことを望む」と脱退方針の撤回を求めた。(2018/12/20-19:43)