[北京 21日 ロイター] – 中国の中央経済工作会議が21日閉幕した。国営新華社通信によると、2019年は安定的な経済成長を支援するために減税を拡大し潤沢な流動性を維持する方針を決定した。 

中央経済工作会議の声明は、来年の経済成長を「妥当な範囲」に維持すると表明。 

「外部環境は複雑で厳しく、経済は下押し圧力に直面している」とし、積極的な財政政策と穏健な金融政策を継続する方針を示した。 

地方政府の特別債発行枠を比較的大幅に引き上げるほか、小規模企業や民間企業の資金調達難の解消に取り組む方針も示した。 

「穏健な金融政策は過度に緩和的でも引き締め的でもなく、流動性を適度に潤沢な状態に保ち、金融政策の波及メカニズムを改善すべき」とした。 

また、政府はカウンターシクリカルなマクロ政策調整を強化し、先制的な政策の微調整を行うとした。 

中国交通銀行(上海)のシニアエコノミスト、Tang Jianwei氏は、地方政府がインフラ投資の原資とする特別債について、2019年は発行枠は1兆9000億元(2750億ドル)相当と、今年の1兆3500億元から拡大すると予想。 

「経済への下押し圧力が高まり、政府は来年、政策緩和を加速するだろう」と述べた。 

一部エコノミストは、より積極的な減税により、来年の財政赤字は国内総生産(GDP)比3%に拡大するとみている。 

中国人民銀行(中銀)関係者によると、来年、銀行預金準備率をさらに引き下げる可能性が大きい。ただ、人民元下落につながる可能性がある基準金利の引き下げは急がないとみられている。 

<成長は減速へ> 

新華社によると、声明は、雇用、貿易、投資を支援し、小規模企業や民間企業の資金調達難の解消を図るとともに、リスクや金融市場の不安定な動きを抑制すると表明。 

不動産については、「住宅は住むためのものであり、投機のためのものではない」という原則を来年も堅持する。 

ロイターは17日、中国政府の顧問やシンクタンクが、2019年の成長率目標を、18年の6.5%前後から6.0─6.5%に引き下げるよう指導部に提言していると伝えた。 

成長率目標は、来年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)まで明らかにされない見通しだ。 

第3・四半期の成長率は世界金融危機以来の低水準となる6.5%だった。 

前週発表された11月の鉱工業生産や小売売上高は数年ぶりの低い伸びにとどまり、第4・四半期に経済が一段と減速する可能性を示唆した。 

世界銀行は、中国の今年の成長率を6.5%、来年は6.2%に減速すると予想。対米貿易摩擦の経済への打撃が一層強まるとみている。 

習近平指導部は中央経済工作会議で、先にアルゼンチンで開催された米中首脳会談の通商合意を実行していくと表明、通商協議を来年進めていく方針を示した。 

商務省は20日、来年1月に米国とさらなる通商協議を行う計画があると明らかにしている。