【ソウル時事】2019年以降の在韓米軍駐留経費の韓国側負担をめぐる米韓交渉が難航している。「米国第一」を掲げるトランプ米大統領が韓国に大幅増額を求め、文在寅政権が反発しているためだ。来年にも始まる見通しの2021年度以降の在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を決める日米交渉にも影響を及ぼす可能性がある。
「トランプ大統領が条件や金額など具体的な話をしたことは一度もない」。文大統領は25日、トランプ氏が昨年11月にアルゼンチンで文氏と会談した際、具体的金額に言及して負担増を迫ったとする一部報道を強く否定した。文氏が報道に直接反論するのは異例で、韓国政府が神経をとがらせている様子がうかがえる。
在韓米軍の駐留経費負担に関する米韓交渉は昨年3月に始まり、これまで協議が10回開かれた。12月のソウルでの協議を最後に交渉は越年し、負担額を定めた協定締結のめどは立っていない。
米韓メディアによると、米側は当初、現在の韓国側負担の2倍近い年16億ドル(1750億円)を要求したが、反発を受けて12億ドルに減額した。昨年末にはハリス駐韓米大使が鄭義溶国家安保室長と非公開で会談。韓国紙・東亜日報によれば、ハリス氏は最低でも10億ドル(1兆1300億ウォン)を求め、鄭氏は拒否したという。
米側はさらに、5年ごとだった交渉時期を1年ごとにするよう要求。韓国側は「3~5年」の線でまとめたい考えだ。韓国では米側の要求について、トランプ氏の意向が強く反映されているとする見方が根強い。
韓国政府は昨年、駐留経費全体の約半分を占める約9600億ウォンを拠出。また、昨年6月の在韓米軍司令部の移転に当たり、総費用約110億ドルの9割を負担した。
韓国側は、駐留経費負担の大幅増は国民の反発を招くとして、1兆ウォン未満に抑えたい方針だ。ただ、交渉がまとまらなければ、4月中旬以降、在韓米軍で働く韓国人約1万2000人の7割超が無給での休職に追い込まれる可能性も出ている。(2019/01/27-15:42)