[ニューヨーク 30日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は30日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25─2.50%に据え置くことを決定した。米経済見通しを巡る不確実性の高まりを挙げ、年内の一段の利上げに忍耐強くある姿勢を示した。
市場関係者のコメントは以下の通り。
●バランスシート戦略見直し示唆は新材料
<アバディーン・スタンダード・インベストメンツのシニアエコノミスト、ジェームズ・マカン氏> 声明はハト派的で安心感を誘う内容で、大きく予想を外れることもなかった。ただ、バランスシート戦略に転換が見られたことは驚きを誘い、米株価動向にもそれが表れている。文言は非常に曖昧で、おそらく意図的に曖昧にしたのだろう。だが、バランスシート戦略を用い金融緩和を拡大する用意があると明示したことは幾分新材料だった。
●声明はハト派、自動操縦にならないシグナル
<キャンター・フィッツジェラルドの債券アナリスト、ジャスティン・レデレー氏> 声明はハト派的だった。それに反応し、米債市場では2年債価格が上昇し、イールドカーブがスティープ化している。 特に驚きはなく、バランスシートに関する文言もセンチメントと一致した。総じて、米連邦準備理事会(FRB)が今後オートパイロット(自動操縦)にならないとのシグナルを発する結果となった。
●政策方針、数カ月前から180度転換
<アリアンツの首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏> 米連邦準備理事会(FRB)は声明で、将来の金利の道筋について辛抱強くなり、バランスシート縮小に一段と柔軟に対応する方針を示し、市場が望んでいた通りの内容となった。これはFRBが数カ月前に示唆した政策方針から180度の転換となる。
●FRBは選択肢維持、年内2回利上げの公算
<GAMインベストント・マネジメント(チューリヒ)の首席エコノミスト、ラリー・ハゼウェイ氏> 米連邦準備理事会(FRB)は経済活動の評価に関して、力強く拡大しているとの文言を削除した。これは若干の下方修正だが、全体的に見ると、FRBは明らかに選択肢を維持している。
つまりFRBは、今回は金利は据え置いたものの、選択肢はオープンで、年内は金利据え置きよりも利上げが実施される公算の方が大きいとのメッセージを発したかったのではないか。 年内の利上げ回数は1回よりも2回になる公算が大きいと見ている。
●「パンチボウル」再び満杯、極めて緩和的な政策継続
<グッゲンハイム・パートナーズ(米カリフォルニア州サンタモニカ)のグローバル最高投資責任者(CIO)、スコット・ミナード氏> (電子メールでコメント)米連邦準備理事会(FRB)は今後新たな方針を示すまで金利は据え置かれることを明確に示した。FRBのトーンが「ハト派」にシフトしたことで、金融政策は極めて緩和的に維持される。
金利据え置きが決定されたことで、緩和が一段と継続し、超過が積み上がり続け、金融不安定のリスクが増大するとのわれわれの見方が裏付けられた。 FRBは「パンチボウル」を再び満杯にした。パーティーは継続する。
●ハト派的、第1四半期中の利上げの公算小さい
<ストーン・アンド・マッカーシ・リサーチアソシエーツ(ニューヨーク)の市場ストラテジスト、ジョン・カナバン氏> 全般的に見て、連邦公開市場委員会(FOMC)声明とバランスシートに関する声明は、ハト派的な組み合わせだった。一定のハト派的なスタンスは織り込み済みだったため、これ以上ハト派的になるのは難しい。
バランスシートに関するコメントは、バランスシート縮小の市場に及ぼす影響が予想より大きかったとのFRBの認識表明でもある。FRBは現在、いくらかの調整を行う用意があることを示している。
米経済成長は年内に数回の利上げを実施できるほどになお力強い。ただ第1・四半期中の利上げの公算は小さい。
●市場寄りの姿勢表明
<アルビオン・フィナンシャルグループ(米ユタ州ソルトレークシティ)の最高投資責任者(CIO)、ジェイソン・ウェア氏> 米連邦準備理事会(FRB)が今回の声明から「いくらかのさらなる緩やかな」利上げが適切となるなどの文言を削除したことは、FRBが現在は市場に寄り添う姿勢を示していることを示唆している。つまり、FRBは市場のボラティリティーを注視しており、上向きリスクよりも下向きリスクを注目しているといったことを伝えたかったのではないか。
FRBはこれまでよりも若干「忍耐強く」あり、かつデータに依存する姿勢を示した。こうした見解は市場が待ち望んでいたものだった。