[ミュンヘン 16日 ロイター] – ペンス米副大統領は16日、ミュンヘン安全保障会議でイランやベネズエラに対する政策を巡り欧州同盟国を非難し、ロシアを含む世界的な協調を訴えたメルケル独首相の呼びかけを拒否した。
同会議での演説や個別会談では、世界的な問題に対する西側諸国の対応を巡りペンス氏とメルケル氏の見解の対立が浮き彫りになった。
ペンス氏は演説で「米国はかつてなく強く、国際舞台で再び主導的役割を果たしている」と主張。米外交政策の成功例として北朝鮮やアフガニスタンを挙げ、同盟国に支持を呼びかけた。
「米国第一主義は米国の孤立を意味しない」とし、トランプ政権の実績を「類まれ」と称賛した上で、欧州連合(EU)もイラン核合意から離脱し、ベネズエラのグアイド国会議長を暫定大統領として承認するよう求めた。
ロシアとドイツの間で建設中のガスパイプライン「ノルドストリーム2」に対する米国の反対もあらためて表明し、「東側に依存することで西側諸国を強化することはできない」と述べた。
メルケル首相はドイツとロシアの通商関係を擁護し、ロシアがエネルギー供給国として信頼性を欠くと決めつけるのは妥当でないと述べた。
メルケル氏はペンス氏より先に行った演説で、イラン核合意からの離脱やシリアからの撤退を決めた米国の判断が対イラン政策として最善かどうか疑問を投げかけた。
質疑応答では、政治的にロシアを排除するのは誤りだと主張。「地政学戦略的に欧州がロシアとの関係を完全に断つのは有益でない」と述べた。
一方ペンス氏は、ロシアによる2014年のクリミア半島併合や西側諸国に対するサイバー攻撃などの責任を追求する立場を強調した。
ペンス氏は、ベネズエラ政策を巡っても「自由に向けて踏み出し、グアイド氏を同国唯一の大統領として承認するようEUに求める」と述べた。
華為技術(ファーウェイ)など中国通信機器メーカーへの圧力も強めた。これらの企業は中国の法律によって同国政府にネットワークやデータへのアクセスを認めることが義務付けられていると主張し、製品を使用しないよう求めた。
中国の楊潔チ政治局員は「中国の法律は企業に情報収集のための裏口を組み込むことを義務付けていない」と反論。世界的な課題に各国は結束して取り組むべきだと訴えた。
また、会議ではバイデン前米副大統領も演説し、トランプ政権の後には伝統的な米欧協力が復活すると表明。拍手喝采を受けた。