米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、埋め立ての賛否を問う県民投票は24日に投開票された。3択のうち「反対」が43万4273票で投票総数の71.74%を占め、「賛成」や「どちらでもない」を大きく上回って多数となった。反対票は、投票資格者総数(115万3591人、24日見込み)の37.65%となり、県民投票条例に基づいて知事に投票結果の尊重義務を課す4分の1を超えたため、玉城(たまき)デニー知事は近く、首相と米大統領に結果を通知する。
投票率は52・48%。反対票は昨年9月の知事選で玉城知事が獲得した過去最多の39万6632票を超え、埋め立てを強行する政府に強い民意を突きつける形となった。結果に法的拘束力はなく、政府は今後も移設工事を進める方針だが、玉城知事は反対多数の結果を受けて政府に移設計画の中止や見直しを迫る考えだ。
「賛成」は11万4933票(投票総数の18.99%)、「どちらでもない」は5万2682票(8.70%)だった。
沖縄で県民投票が実施されるのは、日米地位協定の見直しと米軍基地の整理・縮小の賛否が問われた1996年9月以来、2回目。条例に基づく都道府県単位での実施例は他にない。96年の県民投票は投票率59.53%で、「賛成」が投票総数の89.09%だった。
辺野古移設に反対する玉城知事を支える県政与党や企業、団体でつくる「オール沖縄」勢力は「圧倒的な民意を示す」として組織的な運動で「反対」の投票を呼び掛けた。一方、県政野党の自民や、中立会派の公明、維新は自主投票とした。
移設計画を巡っては、政府が昨年12月に米軍キャンプ・シュワブ南側の埋め立て予定海域に土砂を投入し、埋め立てを本格化させた。一方、東側海域で軟弱地盤が確認されたことから、政府は地盤の改良工事を実施するための設計変更に今春にも着手するが、玉城知事から承認を得られる見通しは立っていない。
県民投票は市民団体「『辺野古』県民投票の会」が約9万人分の有効署名を集めて県に実施を求めた。昨年10月の県議会で「賛成」「反対」の2択とする条例が成立したが、宜野湾など5市が不参加を表明。5市は「2択では多様な民意を反映できない」などと主張したため、県議会が今年1月に選択肢に「どちらでもない」を加える改正条例を可決し、全41市町村で実施されることになった。【遠藤孝康、比嘉洋】