菅(すが)義偉(よしひで)官房長官は26日の記者会見で、東京新聞記者が事実誤認の質問をしたとして首相官邸が同紙に送った抗議文の内容をめぐり、同記者が「質問や表現の自由にまで及ぶものが多数あった」と指摘したのに対し「(記者会見は)質問を受ける場であり、意見を申し入れる場ではない。東京新聞から『会見の場で長官に意見を述べるのは当社の方針でない』というような回答がある」と述べた。
東京記者は「会見は国民の知る権利に応えるためにある。この会見は一体、何のための場なのか」と発言。菅氏は「あなたに答える必要はない」と語気を強めた。
東京記者は午前の会見でも、質問中に官邸報道室長から「簡潔に」などと言葉を挟まれたことを取り上げ、「(室長の)妨害が毎回、ネットで拡散している」と訴えた。この点についても菅氏は「妨害していることはあり得ない。会見は政府の考え方を国民に知ってもらうのが基本だ。(妨害ではなく)『質問にしっかり移ってほしい』ということだ」と答えた。
東京記者の質問をめぐっては、官邸報道室が昨年12月、内閣記者会に「事実を踏まえた質問」をするよう文書で要請した。これに対し「取材の自由への侵害」などとして新聞労連が抗議声明を出し、弁護士やジャーナリストらが文書の撤回を要求している。