[ニューヨーク 27日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが当初付けていた3週間ぶりの安値から値を戻した。米中貿易協議を巡るライトハイザー米通商代表部(USTR)代表の発言を受け市場に警戒感が広がり、安全資産とみられるドルに買いが入った。
ライトハイザー代表は下院歳入委員会の公聴会で、米中の通商問題は非常に深刻で、中国が米国製品の購入を増やすだけでは不十分とした上で、両国が通商合意に至るには依然、相当な努力が必要になるとの認識を示した。
ドルは当初軟調だったが、ライトハイザー代表の発言をきっかけに値上がりに転じた。
TD証券(ニューヨーク)のシニアFXストラテジスト、メイゼン・イサ氏は「米中通商協議は合意に近づいている兆しもあるが、見せかけかもしれない」とし、為替市場は全般的にやや慎重になったと指摘した。
ただ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がこの日まで2日間の日程で行った議会証言で、利上げに「忍耐強く」当たる姿勢を強調する中、ドルの先高感は引き続き後退している。金利先物が織り込む年内の利上げ確率はゼロとなる一方、来年初頭までの利下げ確率は80%まで高まっており、「FRBにドルの上げ材料は期待できない」(前出のイサ氏)という。
こうした中、キャピタル・エコノミクスの主任市場エコノミスト、ジョン・ヒギンズ氏は、質への逃避買いがドルの下支えになると指摘。株安はしばしばドル買いにつながると述べた上で、今年は景気減速を背景にS&P総合500種株式指数.SPXが現在の水準を約2割程度下回って取引を終了すると予想した。
主要6通貨に対するドル指数.DXYは0.2%高の96.166。一時3週間ぶり安値を付ける場面も見られた。ユーロ/ドルEUR=は0.2%安の1.1366ドル。ドル/円JPY=は0.2%高の110.825円。
この日発表された経済指標は強弱まちまちの内容だった。
パキスタン軍は27日、パキスタン領空でインド機2機を撃墜したと発表。2機のうち1機は両国が領有権を争うカシミール地方のインド支配地域に墜落し、もう1機はパキスタン支配地域に墜落、パイロットを拘束したという。これを受け円やスイスフランCHF=が一時的に買われた。
ポンド/ドルGBP=は一時5カ月ぶりに1.33ドルを突破。0.4%高の1.3302ドルで推移した。メイ英首相は26日、欧州連合(EU)と合意した離脱案の修正が議会で否決された場合、「合意なき離脱」と「離脱延期」の双方について2週間以内に議会で採決を行うことを提案した。
ドル/円
NY午後4時 110.98/111.01
始値 110.47
高値 111.07
安値 110.48
ユーロ/ドル
NY午後4時 1.1371/1.1372
始値 1.1396
高値 1.1399
安値 1.1363