衆院本会議で2019年度予算案が可決され、一礼する(右から)安倍晋三首相、麻生太郎副総理兼財務相ら閣僚たち=国会内で2019年3月2日午前0時40分、和田大典撮影

 一般会計総額101兆4571億円と過去最大の2019年度当初予算案は2日未明の衆院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決された。憲法の衆院優越規定で、予算案は参院送付から30日で自然成立するため、年度内成立が確定した。立憲民主党など野党は「一連の統計不正の審議が尽くされていない」などと主張し、採決に反対したが、与党が押し切った。

 立憲、国民民主など野党6党派は1日午前、「統計不正問題への対応が不誠実だ」などとして根本匠厚生労働相の不信任決議案を衆院に提出したが、午後の衆院本会議で自民、公明、日本維新の会などの反対多数で否決された。その後、衆院予算委員会で締めくくり質疑があり、自民、公明の賛成多数で予算案を可決して、本会議に緊急上程した。

 立憲会派の大串博志氏は衆院本会議の反対討論で「政府全体の統計不信に対する安倍政権の対応は全く不十分と言わざるを得ない。消費税引き上げと、その対応策も国民のためになるとは言えない」と述べた。

 予算案は昨年12月に一度閣議決定していたが、その後に厚労省の統計不正が発覚。雇用保険や労災保険の追加給付などにかかる国庫負担分で6億5000万円を追加計上し、1月18日に閣議決定をやり直す異例の経過をたどった。

 10月の消費税率引き上げに備える景気対策費などを計上し、当初段階で初めて100兆円を超えた。10月から始まる幼児教育・保育の無償化など社会保障の充実策の費用が盛り込まれ、防衛費も5兆2574億円と過去最大。重要インフラの緊急点検を踏まえた防災・減災、国土強靱(きょうじん)化の緊急対策関連費用も計上された。

 参院予算委は1日の理事懇談会で、4、5両日に首相と全閣僚が出席し、基本的質疑を行うことで合意した。野党は参院でも統計不正での追及を強めて、政権を揺さぶる方針だ。【松倉佑輔】