• 自国通貨で借り入れるため財政赤字は重要でないとの考え方を一蹴
  • 政府債務がGDPよりも速いペースで増加、歳出削減と歳入増が必要

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は26日、「現代金融理論(MMT)」と呼ばれる主張を一蹴し、金融当局が低金利の維持を通じて、財政赤字拡大の影響への対応を支援するという考え方に冷水を浴びせた。

同理論によると、米国は自国通貨で借り入れするため、常に紙幣を印刷して借金を賄うことができ、その結果、米国の財政赤字が続き公的債務が累積しても問題ないとされる。こうしたMMT論者の一部を勢いづけているのは、米国の債務返済コストを抑えるため米金融当局が低金利を維持するとの期待感だ。

26日の議会証言でMMTに関し質問を受けたパウエル議長は、「自国通貨で借りられる国にとっては、赤字は問題にならないという考えは全く誤っていると思う」と返答。「米国の債務は国内総生産(GDP)比でかなり高い水準にある。もっと重要なのは、債務がGDPよりも速いペースで増加している点だ。本当にかなり速いペースだ。歳出削減と歳入拡大が必要となるだろう」と付け加えた。

議会予算局(CBO)によると、米国の財政赤字は数年後に1兆ドル(約110兆円)を突破する方向にある。米財務省によれば、公的債務総額は2月11日時点で22兆ドル余りに増えた。

U.S.'s national debt tops record $22 trillion

原題:Jay Powell Is No Fan of MMT, Says the Concept Is ‘Just Wrong’(抜粋)