[ニューヨーク/サンフランシスコ 5日 ロイター] – 米国で物価上昇が抑制された状態が続く中、連邦準備理事会(FRB)当局者が5日、利上げに対し忍耐強くある姿勢を相次いで表明した。
ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は、FRBが景気リスクが現実のものとなるか判断するには「数回の会合」を要する可能性があると指摘。以前は利上げしなければ景気が過熱するという懸念があったが、今は「さほど差し迫ったものでない」とし、「金融市場の熱が冷め、インフレ圧力の兆候は目先見当たらないことから、いまは経済動向を忍耐強く見守ることが適切な方針で、予想に関するリスクの賢明な管理と言える」と述べた。
今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つローゼングレン総裁は1月、より楽観的な経済予想が現実のものとなるなら、今年2回の利上げが必要となる可能性はなお存在すると発言していた。今回の発言は、総裁の認識が大きく変わったことを示している。
次回FOMCは3月19─20日に開催。その後は、4月、6月、7月に予定されている。この日の発言を踏まえると、ローゼングレン総裁は少なくとも3月と4月のFOMCは政策変更には時期尚早と考えている公算が大きい。
FRBが1月のFOMCで利上げに対し忍耐強くある姿勢を示してから、市場ではいつまでこうした忍耐が続くのか探る動きが続いている。
ダラス地区連銀のカプラン総裁は、米国企業が抱える債務の増大もFRBが利上げに忍耐強く当たる理由の一つとの認識を表明。大幅な債務を抱える企業は下降局面において支出や採用を減らす可能性が高く、「減速が進めば信用の質が一段と悪化する恐れがある」とし、「インフレはFRB(の目標)から乖離しておらず、非常に忍耐強く対応することが賢明であると考える」と語った。忍耐強くある期間については「何週間ではなく、何カ月」になるとの見方を示した。
このほかミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は、賃金の緩慢な伸びは労働市場の緩みを示しているとした上で、労働市場に依然改善の余地があると指摘。数百万人もの市民が近年、労働市場に再び参入していることに目を見張るとし、「賃金は労働力の逼迫度を測る上で最善の指標であり、個人的に非常に注目している」と述べた。カシュカリ総裁はこれまでの約1年間、利上げに反対してきた。
FRBの政策についてはパウエル議長とクラリダ副議長も前週、忍耐強いアプローチを維持する姿勢を示している。
この日に発表された米経済指標は、2018年12月の新築一戸建て住宅販売戸数が好調だったものの、引き続き強弱が入り交じる内容。ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は、経済が自身の予想通りに展開すれば利上げは正当化されるかとの質問に対し、確約するものではないとしながらも、利上げが「検討事項となる」状況はあり得ると述べた。