[フランクフルト 7日 ロイター] – 7日の欧州中央銀行(ECB)理事会で、ドラギ総裁が示した一連の踏み込んだ提案内容に当のハト派らも驚いたことが、関係筋4人の証言により明らかとなった。 

ECBはこの日の理事会で政策金利を据え置くとともに、危機後初となる利上げの時期を来年に先延ばしすると発表。さらに超長期の銀行向け低利融資を再び実施すると表明した。 

関係者によると、当局者らは当初、金利に関する政策運営方針の変更を予定していなかった。ただスタッフ見通しで今年の成長率予想が1.1%と、昨年時点での予想の半分にも満たないことが判明し、ドラギ総裁がより踏み込んだ対応策を提案してきたという。 

ある関係筋は「成長率は足元潜在水準を下回り、国内総生産(GDP)ギャップも拡大しつつある」とした上で、「景気の減速が一過性のものであるとは言えず、懸念すべきことだ」と述べた。 

別の関係筋は、ECBがより踏み込んだ対応策に傾いていることが判明したのは今週に入ってからだったと指摘。当局者らはすでに金融政策に関する公式発言を自粛する、いわゆるブラックアウト期間に入っており、発言によって市場の期待を変えることができなかったとした。 

保守派らは一連の対応策に抵抗したものの、全般的には受け入れられなかったという。一部の当局者は、予想の引き下げや大幅な政策対応を踏まえ、成長リスクが下向きとの表現を改めるよう主張した。また利上げの見送り時期を「来年4月まで」にすべきとの声も上がったが、ドラギ総裁は全会一致の決定を重んじ、「年末まで」の金利据え置きを支持した。 

ある関係筋は今回の決定について「理事会内では4月まで待つことにあまり意味はなく、今行動するのが適切との見方が多かった」と指摘した。 

ECBはコメントを差し控えた。