[8日 ロイター] – 米労働省が8日発表した2月の雇用統計は非農業部門の雇用者数が2万人増加し、2017年9月以来の小幅な伸びにとどまった。市場予想は18万人増だった。 

市場関係者のコメントは以下の通り。 

●米国経済「一人勝ち」に変調 
<キングスビュー・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ポール・ノルテ氏> 2月の弱い数字は、他の国と同様、米国も痛手を受けていることを示唆する。これまで、世界の中で米国経済が最も好調とされてきたが、そうした状況が変わりつつあるのだろう。 

●前月の反動減 
<インベスコ(ニューヨーク)の首席グローバル市場ストラテジスト、クリスティナ・フーパー氏> 米非農業部門雇用者数の増加数が2万人にとどまり、衝撃的なひどい結果となった。1月は極めて好調だったため、その反動だったと考えられる。 今後は増加数が予想を上回ったり、下回ったりする不安定な状況が続く可能性がある。今回は予想を大きく下回ったが、大きく予想を上回った前月に続くものだった。 市場では主要中銀の動きを受け、警戒感が出ていた。先ず米連邦準備理事会(FRB)が政策を大きく転換させ、次いでカナダ銀行(中央銀行)、さらに欧州中央銀行(ECB)も政策を転換させた。 今回の雇用統計が低調だったことで、世界的な景気減速に対する懸念は一段と高まる。 世界経済、および米経済の行方を示す指標は強弱混交となっているため、今後発表される経済指標の重みは増す。FRBは指標次第との姿勢を示しているため、今後、経済指標の重要度は増していく。 

●翌月の数字見極める必要、FRBの軌道に変更なし 
<TDアメリトレードの首席市場ストラテジスト、JJ・キナハン氏> 3カ月平均では雇用者数は18万6000人増と、良好な経済状況を示唆していることから、政府機関閉鎖という要因を含まない翌月の数字を踏まえ、2月の結果を見極める必要がある。ただ、これほどまでのボラティリティはやや理不尽だ。 天候要因も影響したと考える。専門職やヘルスケアなどの雇用者数が堅調に増加する半面、建設が減少、サービス業・レジャーが横ばいという状況にも、天候が2月の数字に影響したことを示唆している。 ただ、今回の結果が米連邦準備理事会(FRB)の政策軌道を変更することはないだろう。 

●失業率・賃金など中身は堅調 
<BMOキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の米金利ストラテジスト、ジョン・ヒル氏> 非農業部門雇用者数は予想を大きく下回ったが、中身を見ると、予想を上回った部分もある。失業率は低下し、広義の失業を示すU─6失業率の低下は過去最大となった可能性がある。時間当たり賃金も予想を超えて上昇した。 過去には、非農業部門雇用者の増加数が今回のように低調だった月もあった。例えば、2016年5月は1万5000人増、17年9月は1万8000人増だった。雇用増が軟調だったのは単月限りのもので、その後に増加数が20万人レベルに戻れば、今回の結果を深刻に捉える必要はなくなるだろう。 ただ、第1・四半期の米経済成長率が1%を下回る公算は大きい。成長は停滞しており、第1・四半期は思わしくないだろう。