[20日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は19─20日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、成長ペースが鈍化する中、2019年の想定利上げ回数をゼロとし、よりハト派的な政策スタンスへの転換を鮮明にした。
バランスシート縮小については9月に終了すると表明。5月から縮小ペースを減速し、保有国債の毎月の縮小ぺースは最大300億ドルから最大150億ドルに半減する。
FOMCでは、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25─2.50%に据え置くことを全会一致で決定。FRBが金融政策に「忍耐強く」対応するとの方針も再表明した。
市場関係者のコメントは以下の通り。
●バランスシート縮小終了時期、予想より早い <グリーンウッド・キャピタルの最高投資責任者(CIO)、ウォルター・トッド氏> 年内に利上げはないとの見方はすでに市場に織り込まれていたが、FRBのドット・チャートはこうした予想を裏付ける格好となり、注目に値すると言えるだろう。FRBはまた、バランスシート縮小の終了時期を9月末と明確にした。これは市場の予想よりも早い時期だった可能性がある。 (パウエルFRB議長の会見前時点で)市場はこれら2つに反応している。
●ハト派的な内容、事実上の利上げ終了か <UBSアセットマネジメント(ニューヨーク)のマクロ資産配分戦略部部長、エバン・ブラウン氏> 内容は明らかにハト派に傾いている。特に予想外だったのは2019年の利上げ回数予想がゼロになったことだ。市場のコンセンサス予想は最低1回だった。20年の利上げ回数予想は1回だが、来年までかなりの時間があり、FRBは事実上利上げを終了したと考えられる。 バランスシート対応についてはおおむね予想通りだった。
●ハト派的シグナル、当局者11人のドットが年内利上げゼロ <TDセキュリティーズの金利ストラテジスト、ジェナディ・ゴールドバーグ氏> 極めてハト派的だ。金利見通しを示すドット・チャートでは、年内の利上げを示す当局者11人のドットがゼロとなり、大幅な下方修正となった。 市場では、引き下げはドット1つ程度と予想されていたと考える。11人のドットがゼロとなったことは事実上年内の利上げがないとのコンセンサスを示したことになり、市場に極めてハト派的なシグナルを発したことになる。 バランスシート縮小の終了時期を明示したこともハト派と受け取られたようで、それは米株・米債価格の上昇に反映されている。
●予想上回るハト派姿勢示す <ウェスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズ(ワシントン)のシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏> FRBが市場予想を上回るハト派姿勢を示したことでドルが急落した。FRBは大きな政策転換を図った形だ。FRBが2019年の利上げをゼロにした事実は非常にハト派的だ。一方で、FRBは成長支援策は取っておらず、今後数カ月の利下げ可能性は低下しているようだ。バランスシート正常化は、早ければ9月に終了するということだ。
●FRBの変心ぶりに注目 <ルートホールド・グループ(ミネソタ州)の最高投資責任者(CIO)、ダグ・ラムゼイ氏> 声明を読み返さねばならないほど欧州中央銀行(ECB)の対応と酷似しており、予想外だった。個人的には声明内容より米連邦準備理事会(FRB)のここに来ての変心ぶりに目が留まった。当社は株式市場には慎重で、債券市場にはやや強気の立場だ。景気は引き続き減速すると予想され、年内10月以降に利下げがあってもおかしくない。
●資産縮小の9月終了は想定外 <ウエルズ・ファーゴ・アセットマネジメント(ウイスコンシン州)のシニア投資ストラテジスト、ブライアン・ジェイコブセン氏> 予想以上にハト派的だった。資産縮小を12月末ではなく、9月末に停止するとしたことが最大の驚きだった。また、年内の利上げはないとの見通しについても、想定よりも多くの支持があった。 欧州中央銀行(ECB)がハト派化したことは、ユーロ圏経済にとりハト派的と受け止められたが、FRBのハト派化はECBのハト派化よりも強気なものとみられている。