[横浜 27日 ロイター] – 日産自動車(7201.T)の「ガバナンス改善特別委員会」は27日に最終会合を開き、同社への提言とりまとめた。その中で2019年6月末の指名委員会等設置会社への移行や会長職の廃止、取締役会議長は社外取締役が担い、取締役の過半数を社外取締役で構成することなどを提言した。
同委員会は、カルロス・ゴーン前会長の不正を防げなかった日産の企業統治のあり方を見直すため、議論を重ねてきた。
今回の提言では、ゴーン氏は私的利益を追求し、不正行為の根本原因は、典型的な経営者不正だと指摘。同時に「会社のため」という不正の正当化根拠を掲げていた過去の上場会社の経営者不正とは、根本的に異なるとした。
また、不正に利用された可能性のあるRNBVやZIAなど関連会社・組織は、廃止を含めた見直し求め、CEOリザーブの廃止も提言した。ただ、通常の予備費の存在は許容した。
さらに日産の代表執行役は、ルノーその他の主要株主または三菱自動車の取締役、執行役その他の役職員を兼任してはならない、との提言も入った。
この点に関し、統治委の共同委員長である弁護士の西岡清一郎氏は「利益相反のリスクがあり、適当ではない」と判断したとの見解を示した。
新たに設置する指名委員会は、5人程度の取締役で構成され、その過半数は、社外取締役とし、指名委員会の委員長にも社外取締役を充てることを明記。
指名委員会は取締役の選解任の決定権限、代表執行役の選解任の提案権限を持つことも盛り込み、定期的に取締役会の構成員を入れ替えることを目標とするという文言も入った。
報酬委員会は、3-5人程度の取締役で構成し、全てを社外取締役とすると明記した。監査委員会は5人程度で構成され、委員長は社外取締役を充てるとした。
今回の統治委での議論では、国内外のステークホルダーからの信頼回復を図るため、国内外の機関投資家の意見を聞いたほか、ハーバード大学ロースクールのスティーブ・デイビス氏など3人の世界的なガバナンスの権威の助言なども得た。
統治委の共同委員長の榊原定征・元経団連会長は「海外のアドバイザーの方からも、世界のどのガバナンス体制と比べてもそん色ない、むしろ先進的な体制だと評価をしていただいている。これを(日産が)実行していけば、世界的に十分通用するガバナンス体制となる」と述べた。
統治委が触れなかった資本関係の見直しについて、西岡氏は「会社と株主の問題であり、委員会が介入できる問題ではない」と指摘。
日産とルノー(RENA.PA)の間で取り決めている人事や資本関係など提携に基づく協定「RAMA(ラマ=Restated Alliance Master Agreement、改定アライアンス基本合意契約)」が「ガバナンスと何らかの抵触があるということならば、日産のほうで考えていただきたい」と説明した。
編集:田巻一彦