[ニューヨーク 28日 ロイター] – ニューヨーク外為市場は、ドルが他の主要通貨に対して上昇した。米国内総生産(GDP)の確報値が下方改定となったものの、他の通貨が中銀のハト派化で軟調となる中、ドルが上向いた。 

今週はニュージーランド準備銀行(中央銀行)が政策金利の据え置きを決定すると同時に、景気見通しの下振れリスク増大を受け次の政策変更は利下げの可能性が高いとの見解を表明。ハト派化している世界各国の中銀に仲間入りした。 

多くの通貨が軟調となる中、主要6通貨に対するドル指数.DXYは3日連続で上昇し、0.46%高の97.219と、2週間ぶりの高値を付けた。 

商務省発表の2018年第4・四半期の実質国内総生産(GDP)確報値(季節調整済み)は年率換算で前期比2.2%増と、2月公表値の2.6%増から下方改定された。ただドルはこれを受けても力強さを維持した。 

ユーロ/ドルEUR=は0.2%安の1.122ドル。欧州中央銀行(ECB)がマイナス金利政策の副作用軽減に向け預金金利に階層方式を導入するとの観測が出ており、こうした措置は低金利政策の長期化につながるとの見方がユーロの重しとなっている。ただ数週間前に付けた1年9カ月ぶりの安値(1.117ドル)は上回っている。 

テンパス(ワシントン)のシニア外為トレーダー、フアン・ペレス氏は「経済情勢に差が出ていることが引き続きドルの力強さの根源となっている。大方の経済指標でこれは裏付けられている」と述べた。 

ユーロ圏中核国の国債利回りが低水準にとどまったこともユーロ相場を圧迫。クレディ・アグリコルの外為アナリスト、マニュエル・オリベリ氏は「市場では世界的な経済成長に対する懸念が強まっており、特にユーロ圏が影響を受けると懸念されている」とし、「他の通貨が下落しているために、ドル高となっている」との見方を示した。 

米中通商協議について米当局者が前日、議題となっている全ての分野で前進しており、強制的な技術移転に関する問題で中国側がこれまでにない提案を行ったと明らかにしたこともドル支援要因となっている。 

スイスフランEURCHF=は1年8カ月ぶりの高値近辺で推移し、対ユーロで1.118フラン。アナリストは、スイス国立銀行(中央銀行、SNB)がこれまでフランの一段高を阻止するために1.12フランを下回る水準で市場介入を実施してきたと指摘している。 前日売られたNZドルNZD=と豪ドルAUD=は、この日はやや持ち直した。 

英ポンドは対ドルGBP=で1.305ドルを下回る水準に下落。英国のメイ首相は前日、議会が3回目の採決で自身の欧州連合(EU)離脱協定案を可決すれば辞任する意向を表明したが、同案に強硬に反対する勢力の翻意はかなわなかった。 

ドル/円 
NY終値 110.62/110.65 
始値 110.32 
高値 110.82 
安値 110.26 

ユーロ/ドル 
NY終値 1.1220/1.1224 
始値 1.1251 
高値 1.1253 安値 1.1214