[ドバイ/ロンドン/モスクワ 28日 ロイター] – 石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟国による協調減産を巡り、ロシアの離脱を食い止めるためにサウジアラビアが説得に苦慮していることが、複数の関係筋の話で明らかになった。ロシアは現在の協調減産について9月末までの3カ月の延長しか合意せず、年末までの延長は保証されない可能性がある。
関係筋によると、ロシアのノバク・エネルギー相は今月、サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相とアゼルバイジャンのバクーで会談した際、ファリハ氏に対し「国内で減産中止の圧力が高まっているため、ロシアは6月に延長で合意するが、期限は9月末までとなる」とし、協調減産の年末までの延長は保証できないと伝えた。
OPEC加盟・非加盟国で構成する「OPECプラス」は昨年12月、今年1月1日から6カ月間にわたり日量120万バレルの協調減産を実施することで合意した。その後OPECプラスは4月17─18日に臨時総会を開く予定だったが、今月に入りこれを中止。5月に発動される米国の新たな対イラン制裁措置の影響を見極めてから、6月25─26日の定時総会で減産延長の是非を決定するとした。OPEC関係筋によると、ロシアは4月会合の中止を呼び掛けた国の1つだった。
OPEC関係筋は「6月の会合で3カ月間の延長を決定し、その後さらなる延長が必要かどうか検討できる」とし、「ロシアが協調減産にとどまるかどうかは、6月会合の直前まで明らかにならない公算が大きい」と述べた。
OPECプラスが2017年に結成されてから原油価格は上昇。1バレル=60ドルを超え、協調減産開始前から約2倍の水準に上昇した。ロシアが協調態勢から外れれば、原油価格は低下するとみられている。
サウジは予算上の制約から原油価格が最低でも1バレル=70ドルに維持したい意向で、ロシアもこれを承知。一方、ロシアは予算均衡には55ドルの水準で耐えられる。
ロイターは2月、プーチン大統領の側近でロシア石油大手ロスネフチ(ROSN.MM)を率いるイーゴリ・セチン氏がプーチン氏に対し、OPECとの協調減産は戦略上の脅威で、米国の方針に加担するものとなっていると伝えたと報道。
ただ関係筋は、ロシアが示している姿勢が単なる交渉戦術なのか、国内原油産業からの圧力の高まりを受け実際に協調減産を終わらせる意向なのかは現時点では判断できないとしている。
トランプ米大統領はこの日、「石油輸出国機構(OPEC)が増産することは極めて重要だ。世界市場は脆弱で、原油価格は高くなり過ぎている。感謝する!」とツイッターに投稿。価格の低下に向けOPECに増産するよう呼び掛けた。トランプ氏の投稿を受け、原油先物が下落するなどの動きが出た。