米連邦準備制度理事会(FRB)が10日公表した連邦公開市場委員会(FOMC)会合(3月19-20日分)の議事要旨では、金融当局が「著しい不確実性」と長引く低インフレに取り組んでいるとの認識が示された。当局はこの会合で、金融政策の柔軟性を維持する必要性を示しながらも、年内の利上げ予想を中央値でゼロにした。
議事要旨では「フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した」と記された。
米経済は今年1-3月(第1四半期)も成長が鈍化したとみられている。議事要旨は金融当局がこうした事態に対処していることを示唆。英国の欧州連合(EU)離脱問題や米国内の弱い支出の継続、予想以上に深刻な欧州や中国の景気減速に伴うリスクなど、複数の不確実さにも言及している。
「経済見通しの動向と見通しへのリスクから判断すると、FF金利誘導目標レンジを年内変えずにいることが正当化される公算が大きいと、過半数の参加者が予想した」と議事要旨は指摘。一部の当局者は、経済成長率が長期的なトレンドを上回る状態が続いた場合、年内に利上げをすることが適切だとの見解も示したという。
ただ、景気減速やリスクに言及しながらも、金融当局の見通しは依然、総じて楽観的であることも分かった。「参加者は経済活動が引き続き拡大し、労働市場は力強さを維持し、インフレ率は2%近辺にとどまると概して予想している」と記述された。
米国の低インフレに対する当局者の当惑は続いている。個人消費支出(PCE)コア価格指数は1月に前年同月比1.8%上昇と、昨年12月の2%上昇から伸びが鈍化した。
議事要旨は「こうした状況を考慮に入れると、インフレ圧力の兆しが引き続き限定されているなら、労働市場の逼迫(ひっぱく)兆候に対するFF金利の適切な対応はわずかなものになり得ると、一部の参加者が発言した」と記した。
原題:Fed Minutes Show Some Rate Flexibility During Year of Patience(抜粋)